活動報告
標準化センター
Activity

「JEITA電子実装技術標準化活動報告会2018」実施報告

会場の様子 会場の様子 2018年7月10日(火)に機械振興会館(東京都港区)で「JEITA電子実装技術標準化活動報告会2018」が開催され、経済産業省からの国際標準化戦略の報告を皮切りに全体4部構成からなる報告会が執り行われました。
三次元電子モジュール、はんだ接合、ウィスカ、スルーホールリフロー実装、サーマルマネジメント、そしてMETIプロジェクトの電力半導体デバイス等、いずれも日本が主導し日本の意見を反映した標準化活動テーマとなっており、参加者には質疑応答等を通じて多くの「気付き」を持ち帰っていただけたのではないかと考えています。今回はその中から概要をいくつか紹介します。

第1部 Society 5.0に向けた日本の国際標準化戦略

①コネクテッドインダストリーズが描く将来像

経済産業省産業技術環境局国際電気標準課統括基準認証推進官の野口康成様(当時)から、同省で提唱・推進しているコネクテッドインダストリーズ、TC91でも電子部品の包装ラベルとして国際標準化しているQRコードの電子マネー用途、個人情報の保護、企業戦略としてのルール形成、に関して、最新情報も交え、熱のこもった大変興味深いお話をしていただきました。

②IEC TC91(電子実装技術)のアクティビティ

Society 5.0と電子実装技術の国際標準化の関係について報告がありました。Society 5.0とは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を実現する社会およびそれを目指した取組みということで、SDGsの17の目標のうち、電子実装技術は目標7, 9, 12に、特に「目標9:産業と技術革新の基盤づくり」に関連することが示されました。これに相当するSociety 5.0の取り組みとしてはコネクテッドインダストリーズ、スマート製造等があります。これらに関連する国際標準化としてIoT、スマートマニュファクチュアリング、コネクテッドファクトリーエクスチェンジ等があり、これらを扱う標準化組織の何れともTC91はリエゾン関係を構築しており、電子実装技術はSociety 5.0と深く関係していることが紹介されました。

第2部 電子実装技術の国際標準化活動

①METIプロジェクト:三次元電子モジュールの外形および電気的試験方法に関する国際標準化

IEC TC91における最新実装技術の一つである部品内蔵技術・三次実装技術関連の国際標準化は、TC91/WG6(プリント基板・部品内蔵基板―用語、信頼性、設計指針)において活動が行われています 現在、経済産業省事業により福岡大学を中心に技術開発された「三次元電子モジュール」を積層した評価方法として「多層モジュールの積層部接続性試験方法」の国際標準化を、日本がリーダとなり提案中で、今年10月のTC91釜山会議でNP提案を予定しています。

三次元電子モジュールを積層した多層モジュールの例

三次元電子モジュールを積層した多層モジュールの例

②IEC 61189-5-601:はんだ接合部のリフローはんだ付け性およびプリント配線板のリフロー耐熱性試験方法

現在、IEC TC91/WG3(電子実装の測定・試験方法)において、2020年のIS規格新規制定を目指して、日本がリーダとなり審議を進めている規格です。プリント配線板に対するSMDの実装性を評価する試験方法を規定するもので、下表に示す6つの試験方法を検討しています。 プリント配線板に対する試験方法をIEC規格化することにより、プリント配線板メーカ、配線板材料メーカ、それらのユーザである機器メーカなどエレクトロニクス業界のワールドワイドな取引に有益な内容となるよう推進することを考えています。

【IEC 61189-5-601で規定予定の試験項目】
試験No. 試験項目
Tg1 リフロー後のはんだ接合部初期品質
Tg2 リフロー工程中の部品とプリント配線板の反り
Tg3 プリント配線板のリフローはんだ耐熱性
Tg4 プリント配線板のランドの濡れ性およびはじき性
Tg5 プリント配線板のランドのはんだ食われ性
Tg6 試験用プリント配線板のランドの引き剥がし強度

プリント配線板に対する試験方法をIEC規格化することにより、プリント配線板メーカ、配線板材料メーカ、それらのユーザである機器メーカなどエレクトロニクス業界のワールドワイドな取引に有益な内容となるよう推進することを考えています。

③IEC 60068-2-82:電気・電子部品のウィスカ試験方法

IEC TC91/WG3において現在CDV段階でドイツと日本が共同リーダとなり審議を進めている規格です。 ウィスカとは、低融点金属から、自然成長する金属突起物で、電子回路の短絡原因となることがあります。JEITAは、鉛フリー実装の普及活動の中で、この問題に取り組み、2007年にIEC 60068-2-82を制定しました。約10年が経過し、現状に即した規格の見直しを行っています。

電子部品の端子上に成長する錫ウィスカの例

電子部品の端子上に成長する
錫ウィスカの例

第3部 次世代パワーデバイス実装に関する国際標準化
(METIプロジェクト)

省エネルギー、エネルギー利用効率向上の機運が高まる中、電力変換時の損失を減らすためのキーデバイスであるパワーデバイスを用いた電力変換機器が注目されています。
パワーデバイスが使用される環境を想定し、種々のダイアタッチ材料・接合システムについての接合信頼性評価の標準となる評価試験方法および評価基準(品質性能基準)を提供することを目的として、IEC国際標準化提案を行う目的で、平成27年度からMETIプロジェクトとして3カ年活動してきた成果が報告されました。

想定されるダイアタッチ材の接合構造

想定されるダイアタッチ材の接合構造

プロジェクトはパワーデバイスの形態によってディスクリートタイプとモジュールタイプの2つのWG活動で実施され、それぞれダイアタッチ材料・接合システムに着目した評価試験方法として、温度サイクル試験およびパワーサイクル試験の条件と評価基準が検討されました。接合材評価試験用標準デバイスを用いた温度サイクル試験では、熱抵抗測定によりダイアタッチ部のクラック進行度合いを計る評価試験方法の有効性が確認されました。パワーサイクル試験については、有限要素法解析により試験中のダイアタッチ材のクリープ変形機構がシミュレーションされ、より適切な試験条件の在り方が検討されました。
こうしたMETIプロジェクト活動成果を基に、IEC国際標準化に向けダイアタッチ材評価試験方法の2規格案をNP提案しています。
さらに、今後は産業用途向け電力半導体デバイスの放熱構造接合部の寿命評価方法開発に取り組む新たなMETIプロジェクトを、平成30年度から3カ年の計画で進めていく事業内容が報告されました。

第4部 実装技術標準化専門委員会最新活動トピックス報告

①実装技術標準化専門員会の標準化戦略

標準化活動の概要や意義について報告が行われました。技術の進歩や世の中の変化に伴い、今までのやり方が通用しなくなるケースが出てきており、時代の流れに合わせて常に追加、変更していく必要があり、現在、以下のグループが組織され、活動を行っております。

②電子機器実装におけるサーマルマネジメント

ここでは電子部品の実装形態の変化にともない必要となった、電子機器の熱設計のインフラ整備を行うサーマルマネジメントの取組みについて紹介が行われた。
プリント配線板に実装される電子部品は、スルーホール実装のリード付き部品と表面実装部品に大別されます。スルーホール実装の発熱部品で発生した熱の概ね8割以上は、部品表面より大気に直接放熱されますが、表面実装部品で発生した熱は、その9割以上がプリント配線板経由で放熱されます。前者に対する熱設計は、主として筺体内温度の制御であり、手法は長い歴史を経て確立されています。後者に対する熱設計はプリント配線板の温度の制御が主となりますが、その手法は確立されておらず、部品仕様も適切に定められているとは言い難いのが現状です。サーマルマネジメント標準化検討グループは、この問題に対応するために、グループ活動を実施しています。

実装技術標準化専門委員会の傘下組織

領域別グループ組織
  • ・先端実装技術標準化G
  • ・はんだ付け試験標準化G
  • ・実装CADライブラリ&データフォーマット標準化G
  • ・接合耐久性試験方法G
  • ・電子実装技術用語G
個別課題検討チーム
  • ・IEC 62090(バーコート規格)改訂対応PG
  • ・はんだ付け実装要求事項改定検討PG
  • ・ウィスカ試験方法研究会
  • ・サーマルマネジメント標準化検討G
  • ・スルーホールリフロー実装に係わる要求事項標準化PG