活動報告
情報・産業システム部
Activity

Connected Industries実現に向けた、
IoTによる省エネ・リノベーション“連携制御”の役割

産業システム事業委員会 制御・エネルギー管理専門委員会では、IoTによる全体最適(需供双方向連携)や、既存インフラの効率改善、省エネ貢献が可能な“連携制御”技術の普及を図っております。

連携制御とは

JEITA制御・エネルギー管理専門委員会では、複数の機器や設備を連携させた運用や制御により、システム全体の最適化を行うことでエネルギー効率を向上させるという考え方を「連携制御」という概念にまとめ上げ提唱してきました。連携制御は機器単体の高効率化とは異なり、既存設備を活用しながら、制御技術によって全体最適を実現するものであり、投資対効果の高いソリューションです。連携制御の考え方は、Connected IndustriesやIoT(Internet of Things)に代表される、機器やデータがつながることによって価値を生み出すというコンセプトをまさに実現するものと言えます。
当委員会はこれまでに、連携制御の事例収集、連携制御のカテゴリ分け、他の省エネ施策との投資対効果の比較、導入効果指標の標準化などの取り組みを進め、これらの検討結果をまとめた集大成として「連携制御ガイドブック」を2012年に刊行しました。

拡張された連携制御

連携制御の全体最適の概念はエネルギー以外の指標にも適用することができます。たとえば、生産プラントでは品質、納期、総コスト、環境負荷(CO2排出量等)、安全性などの指標を考えることができ、これらの指標の組合せを何らかの基準に基づいて最適化します。また連携範囲も、工場内だけではなく、工業団地のようなコミュニティやスマートグリッドなど広範囲の最適化が可能であります。
このような指標や範囲の広がりに対応するため、当委員会では連携制御の定義を見直し、2017年3月に「連携制御ガイドブック第三版」を発行しました。改訂前の連携制御はエネルギーのみの最適化を前提としてましたが、拡張に伴い、「エネルギー使用量に関連する指標を含む、1つ以上の評価指標を最も適した状態に導くために」とし、生産品質(歩留まり)や快適性など、エネルギー以外の評価指標も含んで最適化を行う事例も含むようになりました(図1)。これにより、連携制御は図2に示すように社会全体の連携までを含む概念となりました。
現状、機器単体での省エネについては、単純な機器や照明などの入れ替えは一定程度進展しており、今後は大規模な機器やシステムの高効率なものへの入れ替えが期待されているが、なかなか取り組みが進んでおりません。一方、連携制御では、既存のシステムの測定対象の追加や制御方法の変更により省エネを実現するものであり大きな期待が寄せられております。さらに省エネだけでなく、生産性や品質、安全性にも取り組むことができるため、工場・プラントにおいても比較的取り組みやすいものとなっています。

【図1:拡張された連携制御】

拡張された連携制御

【図2:社会全体における連携制御の位置づけ】

社会全体における連携制御の位置づけ

連携制御:CEMSスマートグリッドへ

拡張された連携制御では、エネルギーと様々な指標を結び付け、バウンダリの枠をさらに広げたことで、地域内の事業所間、スマートグリッドとの連携、サプライチェーンへの接続など複数事業者や複数システムとの連携も対象となります。
CEMS(Community Energy Management System)およびスマートグリッドと工場間の連携の事例は図3,4の通りです。さらに、工場内・工場間の連携を進めるため、FEMS(Factory Energy Management System)の標準化により連携制御の普及を促進する活動を開始し、FEMSは連携制御に係る重要な機能であり、単なる見える化だけでなく、最適化や予測の概念も含んだ機能を国際標準化する検討を行っております。今後、IoTやスマートグリッド、再生可能エネルギーや蓄電技術などが普及するにつれて、広範囲での最適化が必要になり、連携制御の役割は増していくと期待しております。

【図3:CEMSにおける連携制御の事例】

CEMSにおける連携制御の事例

【図4:スマートグリッドと工場・プラントの需給調整】

スマートグリッドと工場・プラントの需給調整