JEITAの活動
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IEC TC100AGS/AGM
ブリュセル会議報告

TC100国際役員
TC100国際役員

本年5月22日(火)~ 25日(金)ブリュセルのNH Hotel及びベルギー工業会・会議室にて、IEC(国際電気標準会議)TC100(AV・マルチメディア、システム及び機器)TC100AGS(戦略諮問会議)/AGM(運営諮問会議)及び傘下グループの会議が開催され、活発な審議が行われました。その中から、いくつかの重要な議案について紹介します。

TC100概要
IEC TC100(AV・マルチメディア、システム及び機器):1995年10月に設立2004年1月より日本が幹事国を務めており、現在、国際幹事:由雄(パイオニア)、国際副幹事:佐久間(東芝)、寺崎(パナソニック)、P メンバー(投票権を持つ国):20ヶ国、Oメンバー(オブザーバーの国):24ヶ国、傘下に14のTA(Technical Area)がある。なお、TC100 の受託審議団体はJEITAであり、TC100国内委員会を運営している。

A.TC100 Workshop

5月22日、Horizon 2020からTC100に関係するプロジェクトを複数お招きしWorkshopを開催した。以下のプログラムで開催され盛況のうちに終了した。なお各プロジェクトとは今後も連絡を保っていく。

Workshopのプログラム

①TC100の紹介
②Horizon 2020 Projects紹介
a)Insension: Personalized intelligent platform enabling interaction with digital services
b)SUITCEYES: Create improved and interactive communication possibilities for people with deafblindness
c)UP-Drive: Automated Urban Parking and Driving
d)ORPHEUS: Object- Based Audio Experience

B.TC100のTA再編

TC100は他のTCと異なりTA(Technical Area)制にて組織運営をしており現在傘下に14のTAがある。TC100に関するビジネス環境の変化に対応すべく、前回の総会(米国加州サンディエゴ)で下記再編案が承認されたことを受けて、今回は再編された新TAであるTAI8,19,20のスコープ及びTAM、TS人事の提案がなされ審議の結果承認された。なお新TAはAC文書発行をもって正式となり、10月総会に各TA会議を開催予定。

【TA再編暫定合意案サマリ(agreed at the last AGM with New IDs) 】

C.各TA会議とその規格化

併せて一部TAとGMT、 及びTC100直下のPT(Project Team)が会議を行いその規格化案件を審議した。各トピックスは以下;

1.オーディオプロジェクト

TA20が扱う予定のオーディオPT、MT(Maintenance Team)またTA4のオーディオPT、MTを審議した。3Dオーディオの要件の多数チャネル方式を一元的に扱うIEC 62574、またその伝送を行うIEC 60958-5、IEC 61937-xxなどの進捗を得た。

2.カラーマネージメント

TA2担当、4K8Kビデオ導入などにより新たに、HDRの色管理への対応、Blue-light関連、またその省エネにかかわる部分など新たな規格化提案を検討中。

3.非接触給電

TA15担当、近年実使用が本格化しつつあり電力効率や給電プロトコルなどの規格化提案を検討している。また距離を隔てた伝送の検討を始めた。

4.車載マルチメディア

TA17担当、複数カメラの合成映像の規格IEC 63033、アクシデント時のDrive recorder画像の記録規格IEC 63005の検討を行いそれぞれ次のステップへ進むことを合意した。また新たに車載AVシステムの利用に関するUser Experienceの提案が審議されNP提案すべく審議された。

5.CPS、IoT

5.CPS、IoT

PT100-17では、クラウドサービスなどでAVマルチメディアも変化している中TC100のCPS(Cyber-Physical System)、IoT(Internet of Things)モデルのTechnical Reportを検討中。今回そのより具体的な提案もあり、次回会議までにDTRをまとめる予定。

6.Virtual Reality(VR)

PT100-18では、CPSの一部であるVRのTechnical Reportを検討中。今回さらにARや関連するMPEGの規格化、またビューアーの視覚への影響など多方面からの検討が提案され、これらを含めてDTR(Draft Technical Report)を策定することとなった。

D.USBを用いた電源供給に関するIEC 62680 シリーズの標準化

スマートフォンから消費電力の大きなデバイスまで、USB Type-C™により大きな電力を供給できる規格を、コンソーシアムであるUSB-IF(USB Implementers Forum)と協力して発行した。


USB Type-C™

ブリュセル会議では、USB-IFのプレジデント兼COOのRavencraft氏からUSBを用いた共通コンポーネントを規定するPart1:USB Battery Charging Specification, Revision 1.2, 新たに出版したUSB Power Delivery Specification, USB Type-C™ Cable and Connector Specification, USB Type-C™ Authentication Specification について、環境に優しく、スマートな給電が実現でき、ユーザは安心して利用できるものであるとの説明があった。

E.今後の予定


会議会場 NH Hotel

TC100国際幹事より、今後の予定について、下記のような説明があった。

・2018年10月
Plenary会議(韓国)

・2019年15月
AGS/AGM会議(欧州)

・2019年10月
Plenary会議(中国)


長榮JEITA会長(左)と由雄氏

JEITA会長賞

由雄TC100国際幹事(パイオニア)がJEITA会長賞を6月1日に受賞した。

受賞理由

AV・IT・マルチメディア機器の標準化活動に長年に亘り尽力、我が国主導による国際標準化を多数実現させ事業展開の基礎となる技術基盤構築に努め、業界の健全な発展と消費者の利便性向上に貢献。