責任ある鉱物調達検討会責任ある鉱物調達調査説明会
2018を開催
大阪会場の様子
責任ある鉱物調達検討会では責任ある鉱物調達への理解を深めていただくため、サプライチェーンのメーカ等の担当者向けに説明会を開催しました。
責任ある鉱物調達対応について
コンゴ民主共和国(DRC)および周辺9ヶ国で採掘される鉱物資源が、人権侵害、環境破壊等を引き起こしている武装勢力の資金源となっていることが懸念されています。これを受けて、2010年7月に米国金融規制改革法が成立し、1502条(紛争鉱物条項)で米国証券取引所に上場する製造業者等に対し、紛争鉱物(錫・タンタル・タングステン・金(略称:3TG))に関する米国証券取引委員会(SEC)への報告と情報開示を義務づけました。SEC上場企業は最終製品ができるまでのサプライチェーンを調査し、そのなかで製錬業者を特定しデュー・ディリジェンスを実施しています。
また、2017年7月にEUで紛争鉱物規則が発効されました。この規則に基づき、EUに鉱物を輸入する事業者は2021年1月から3TGのデュー・ディリジェンスが義務付けられます。
【紛争鉱物に関する欧米の規制】
アメリカ | EU | |
---|---|---|
発行日 | 2010年7月 ドッド・フランク法 2012年8月 SEC規則 |
2017年7月 発効 2021年1月 全面適用(デュー・ディリジェンス義務化) |
対象者 | 米国上場の製造業者 | EUに鉱物(鉱石・未加工金属)を輸入する企業 |
対象リスク | 武装勢力の資金源か否か | OECD ANNEX II ベース(児童労働を含む人権侵害全般) |
対象鉱物 | スズ、タンタル、タングステン、金 | スズ、タンタル、タングステン、金 |
対象地域 | DRC及び周辺国 | 紛争地域および高リスク地域(CAHRA) |
事業者が行うこと | 1.3TG使用有無、原産国調査 2.サプライチェーンのデュー・ディリジェンス 3.年次報告書提出 |
1.サプライチェーンのデュー・ディリジェンス 2.年次報告書提出 3.各国による事後確認 |
今後の動き | ドッド・フランク法廃止の動きがあるが、法案可決の見通しは立っていない。現時点でも法律は有効 | 紛争地域及び高リスク地域の定義に基づくハ ンドブック、責任ある製錬所リストを準備中 |
コバルトのパイロット調査がスタート
JEITAでは、2012年に「責任ある鉱物調達検討会」を設置以来、責任ある鉱物調達を推進する国際的な組織であるRMI(Responsible Minerals Initiative 旧CFSI)と連携を図り責任ある鉱物調達を推進しています。
今年は新たに、RMIにおいてコバルトのパイロット調査がスタートしました。コバルト調査は、米国金融規制改革法のような法律はありませんが、コバルトの人力採掘における安全でない労働環境や児童労働に対する懸念が高まったことに起因しています。そこで各企業は、コバルトサプライチェーンの透明性を高めると共に、サプライチェーン関係者と協力してコバルトの責任ある調達を目指しています。
説明会を開催
6月8日~22日、サプライチェーンのメーカ等の担当者向けに東京、大阪、名古屋、仙台、福岡の全国5箇所全12回の説明会を開催し988人のご参加がありました。説明会では、なぜ企業が紛争鉱物調査に取り組むのか、法律の要求にはないコバルト等3TG以外の鉱物について企業はどのように取り組むべきなのか、責任ある鉱物調達の背景や世界的なトレンドはどうか、に関してご紹介しました。講師による個別相談も実施し、参加者に責任ある鉱物調達への理解を深めていただく良い機会となりました。