柵山正樹 三菱電機株式会社
取締役会長が会長に就任
JEITAは6月1日に第8回定時社員総会を開催し、柵山正樹 三菱電機株式会社 取締役会長が新会長に就任しました。就任後の記者会見には62名の報道関係者が出席し、平成30年度の事業計画の基本方針に「Society 5.0の推進」を掲げ、課題解決型の業界団体へ改革していく旨が、柵山新会長より発表されました。
柵山新会長記者会見 挨拶概要
はじめに
この1年間、Society 5.0に向けた事業活動をはじめ、さまざまな取り組みにご尽力いただきました、長榮前会長に感謝申し上げるとともに、その思いを引き継ぎ、JEITA会長の責務を務めてまいります。
2018年度の取り組み
IoTやビッグデータ、人工知能の技術の進展により、産業構造や社会構造が大きく変わりつつあることはご承知の通りです。JEITA及びIT・エレクトロニクス産業は、わが国の経済成長及び社会の高度化を支える基盤として、また、今後あらゆる産業が連携することで新たな価値を生むための「つなげ役」として、その役割はますます重要になると考えています。
JEITAは、Connected Industriesを通じた、高度な情報活用による世界に先駆けた超スマート社会の実現、「Society 5.0」の推進を事業指針として掲げ、異業種、ベンチャー、海外と連携し、成長分野に関わる課題の検討や政府への提言などを実施してまいります。電子部品、電子デバイスをはじめ、電子機器、ITソリューション・サービスなどを中核として、あらゆる産業をつなぐプラットフォームとなり、業種・業界を超えて社会課題に向き合う、課題解決型の業界団体への変革を、この1年間、進めてまいります。
組織変革
Society 5.0の実現には日本国内の企業、政府、研究機関が連携することはもちろん、新たな視点や技術をもたらす異業種やベンチャー企業との連携が不可欠です。その推進役を担うために、JEITAそのものも変わらなければならず、ここ数年、大きな変革に取り組んでまいりました。
昨年、会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、IoTに密接に関係する企業に門戸を広げたことで、トヨタ自動車やソフトバンクをはじめ、LIXILやTOTO、セコム、JTBなど、幅広い業種・業界の企業に入会いただきました。これにより、業界の垣根を超えた連携や課題解決の検討に最適な環境が生まれつつあります。また、事務局体制の強化を進めており、昨年、事業推進室やCS推進室を新設し、新しい取り組みを推進するための人材を強化しています。
事業環境整備
また、当業界企業が、厳しい国際競争に直面する現状において、新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくためには、事業環境の整備が極めて重要となります。
税制については、Society 5.0の実現に向けて、企業規模を問わずあらゆる分野・産業におけるデータ利活用を促進するため、IoT関連システム投資を促す税制措置を政府・与党等に働きかけた結果、情報関連投資等の促進に係る税制、いわゆるConnected Industries税制の創設という成果をあげることができました。今後、この税制をもとにデータの先進的な利活用を通じて、モノづくりはもとより、あらゆる分野・産業の付加価値生産性の向上に貢献できるよう、当業界企業のソリューション事例の紹介など、経済産業省、自治体などの協力も得て、普及促進活動を進めてまいります。また、昨年同様、デジタル経済の急速な進展に対応するために必要となる税制要望をとりまとめ、精力的に活動していきます。
データの確保や利活用及びデータフリーフローの推進も重要なテーマです。ビッグデータ活用とプライバシー保護の両立、データ利活用促進による新たなサービス提供に向けたルール作りを政府へ働きかけてまいります。また、デジタル貿易分野において、国境を越えたデータの自由な流通の促進と、国独自のセキュリティ規制や標準化政策など、保護主義的政策の拡大を阻止し、デジタル経済の自由化と競争力強化を図るため、日米欧産業界で連携し、共同宣言や官民対話の共催等を通じ、これらを含むTPP3原則を他の通商協定にも広めるべく、働きかけてまいります。
事業推進
Society 5.0を実現するためには、異なる知見や技術を持った者が連携し、新たな価値を共に創り出す「共創」による新たな市場創出が欠かせません。新たに成長が見込まれる分野に関する領域に対して、本年も積極的に取り組む方針です。
会員制度改革により新たにJEITAに参画した企業やベンチャー賞受賞企業からの提案に基づき、新たな事業に取り組む企業や団体を支援する「JEITA共創プログラム」を新設しました。これは新たな産業の可能性を探る活動を一時的にJEITA事業の一環としてサポートするもので、第1弾には、JEITAベンチャー賞受賞企業であるトリマティスが中心となって設立準備を進めている「ALANコンソーシアム」を採択しました。水中環境を次世代の新経済圏と捉え、民需に特化した材料、デバイス、機器、システム、ネットワーク等の開発を推進する本コンソーシアムは、新たな市場創出に繋がる取り組みだと考えています。これに限らず、新しい市場を創出する取り組みを継続して応援していきます。
市場創出においては、CEATEC JAPANの役割も重要です。2016年に家電見本市からIoT社会の総合展に大きく舵を切り、3回目を迎える本年は、あらゆる産業が繋がることにより新たな価値やビジネスモデルが提起される他に類を見ない展示会として、より一層強化してまいります。昨年、三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、JTBなどが出展した、主催者特別企画「IoTタウン」には、本年はそれらの企業に加えて、新たに、ローソンや竹中工務店、ライオンやNEXCO東日本、三菱地所といった、従来のCEATEC JAPANでは想像もつかないような、異業種からの新規出展が続々と決定しています。IoT社会の総合展として、持続可能な経済成長と国内外の社会課題の解決のため、業界・業種の垣根を超えた連携・共創を生み出す、10月のCEATEC JAPANに、ぜひご期待ください。
おわりに
JEITAは自らの変革を含め、会員企業と連携し、あらゆる活動の変革を推し進めることで、課題解決や競争力強化、新たな市場創出はもちろんのこと、日本経済・日本社会の未来のためにSociety 5.0実現の推進に取り組んでまいります。