JEITAの活動
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産業技術総合研究所 関西センターにおける
バイオメディカル関連の取り組み

関西支部運営部会は、3月7日(水)に開催した3月度会 合に、産業技術総合研究所 関西センターより4名の講師 を迎え、標記テーマの講演を行いました。

産総研ならびに
バイオメディカル研究部門等の概要

最初に、バイオメディカル研 究部門の大西芳秋 副部門長より 概要の説明をいただきました。 「産総研では2015年からの第4 期中期計画で、産業界に技術を橋渡しする機能の強化に向け、戦略的な組織再編・融合を進め、民間からの資金 獲得・出資額の3倍増をめざしています。関西センター のバイオメディカル研究部門では、創薬支援、医療ケア、 生物生産を3本の柱に据え、生物生産については、“日 本オリジナルのゲノム編集技術確立”を目標に取り組ん でいます。また、大阪医薬品協会と共催で“関西バイオ 医療研究会”を組織する等、ネットワークづくりにも注 力しています。」

JEITA関連業界の皆様との
こと作り(価値創出)連携

続いて、上席イノベーションコーディネーターの福井実 氏より標記の講演がありま した。「関西センターはバイオ メディカル、材料、電池、情報 の4研究部門を持ち、5名のイ ノベーションコーディネーターが配置されて、産業界と の連携に努めています。産総研の先端シーズを企業に橋 渡しするテーマでは、パートナー企業のニーズに特化し た研究開発に向け、一定の段階で企業名を冠した“連携 研究室”を設置し、成果をコミットする研究体制を確立 しています。」

続いて、関西センター バイオメディカル研究部門の 具体的なシーズについて2件のプレゼンテーションがあ りました。

“金の卵”を産むニワトリの開発
-蛋白質製造のパラダイムシフトを目指して

大石 勲 研究グループ長より 発表がありました。「医薬品や 再生医療に用いる組み換え蛋 白質の需要は拡大の一途をた どっています。世界市場は2016年の1,725億ドルから 21年には2,284億ドルへ、年平均5.8%の拡大が予測 されます。現在は培養細胞を用いる生産法が主流です が、設備や管理の費用が高額で、生産コストは1gあた り数千~数万円となっています。掲題の研究は、ニワ トリの遺伝子を操作し、培養細胞の代わりに安価な鶏 卵を用いて組み換え蛋白質を製造するもので、大幅な コスト低減( 1/10 ~ 1/100 )にめどがついています。 すでに産総研から企業への“橋渡し事業”の一環として、 “ニワトリ工場”パイロットプラントの運用がスタート しました。」

交通事故後のこころのケアを行うための
バイオマーカー

小島正己 上級主任研究員よ り発表がありました。「うつ病 は非常に多様な症状を示しま すが、患者が自らの症状を医 師に明確に伝えることは困難で、診断のための客観的な 指標が求められています。掲題の研究は、この指標とし て神経栄養因子BDNFに注目するものです。交通事故に 遭った後、一定期間をおいてPTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)を発症す る可能性と、血中BDNF濃度の相関についてデータの解 析を進めています。血圧等のバイタルデータは、簡便に 計測できる機器が広く普及していますが、こころの健康 に関するデータについても、将来的に同様の機器が開発 されることを期待しています。」

講演後の質疑応答に続き、終了後の懇話会でも活発な 情報交流が行われました。