お知らせ
INFORMATION

産業界の主張

 
ITA(Information Technology Agreement, 情報技術協定)のメンテナンスの必要性
課 題
 イノベーションはITAの対象であるICT製品にすばらしい新たな機能を付け加えている。近年の継続的な技術進歩の中で、世界のハイテク産業は、もともとITA対象であった製品が本来前向きな要素であるイノベーションや技術融合などの結果、協定の対象外として扱われてしまうような事態について懸念を強めている。このような矛盾から生起する論理的明確性の欠如は、悪しき前例をもたらすばかりでなく、ITAの将来の成功や意義を損ないかねない。世界のハイテク産業は、市場を開くという協定の文言と精神を維持し、対象製品の関税を“抑えて、撤廃する”という約束が尊重されるべきであることを再確認するよう求める。協定の第一節に規定されているとおり、“各国地域の貿易体制は情報技術製品の市場アクセスを強化するような方向に進化すべき”である。
 ITA加盟各国は、ドーハラウンド交渉における立場にかかわらず、ICT製品に関する市場アクセスを拡大する方向に進むべきである。
 また、各国は、技術的に高度化したITA製品が引き続き無税の取り扱いを受けられるように、協定の定期的なレビューに合意すべきである。ITAのメンテナンスは協定の将来の成功に不可欠であり、イノベーションの精神を維持するためにも協定とその対象製品を広く定義すべきである。
背 景
 1996年12月、ITAが採択された。参加国は多くのICT製品の関税を抑え撤廃し、それらの製品のコストを引き下げ、貿易拡大、成長促進、途上国を含めIT部門の投資の拡大を図っていくことを約束した。今日69カ国が協定に参加し、世界のIT貿易の97%以上を占めている。
 IT製品に関する関税ゼロの取扱い、協定のメンテナンス、対象製品を支える技術や進化した製品の扱いなどに関するレビュー等、現行協定に規定された事項についてはITAの全メンバーが遵守する必要がある。現在市場に出回っている製品についてもITAを適用し、その恩恵を及ぼすためには、現行の対象範囲が進化型にも適用されるべきことを再確認する必要がある。
メッセージ
 世界のハイテク産業はドーハラウンドのNAMA交渉が進展し、電子分野の関税ならびに非関税障壁が撤廃されるよう希望している。このためには、一部限定的な例外や段階的な対応も許容しつつ、技術製品の市場アクセスを改善する方向に総合的に取組む必要がある。
 ただし、このこととすでにITA対象製品であるべき製品の無税扱いを維持することとは分けて考える必要がある。われわれは、分類の矛盾がそのまま残るのであれば、電子製品に関するあらたな約束の有効性には疑問があると考えている。電子産業発展のため、ITA加盟国は対象範囲の解釈に関する共通のアプローチについて合意すべきである。
 我々、世界のハイテク産業はICT製品の役割や恩恵について検討されることを歓迎する。
以 上
 
WTO情報技術協定(ITA)ワークショップにおける日米欧産業界からの要望について