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安倍新政権の発足について

一般社団法人 電子情報技術産業協会
会 長 中鉢 良治
 
 IT・エレクトロニクス産業は、我が国の雇用や輸出を支える基幹産業であるが、六重苦に加え周辺諸国との関係の悪化もあり、極めて困難な状況に直面している。この危機的状況を打開し、当業界が官民連携の下、日本経済・産業の復活に寄与するためにも、安倍新政権におかれては、事業環境の改善や国際競争力強化に資する政策を、安定しかつ力強い指導力の下、緊迫感とスピード感を持って推進していただきたい。そのためには、即効性のある経済対策や円高対策は必須であり、国民が実感できる成果を早期に上げることを期待している。
1.経済・産業政策の着実な実施
我が国の経済・産業は歴史的な円高水準の長期化による多くの苦難によって疲弊している。経済・産業の復活のためには企業の復活が不可欠であり、産業支援策や税制・規制改革、金融緩和施策等、あらゆる政策を迅速に実行することを強く期待する。特にデフレ、円高からの脱却は最重要事項であり、諸外国とも協調を図りながら、実効性のある金融施策を進めていただきたい。また、国際的な競争条件のイコールフッティングの確保のため、法人実効税率の更なる引き下げや償却資産に掛かる固定資産税の廃止・縮減といった事業環境の整備が必要である。さらには、競争力強化のための研究開発投資や先端設備投資につなげるため、海外からの資本移動の自由化の推進、還流資金に掛かる二重課税の撤廃も不可欠である。経済・産業の復活に向け、思い切った施策を実施していただきたい。
2.イノベーションを創出するための環境整備
新たな雇用の創出や国際競争力強化のためには、イノベーションの創出が不可欠である。市場の拡大が期待されるグリーン・ライフ分野をはじめとしたイノベーションを促進する企業の研究開発を後押しするとともに、産学官による世界最先端の研究開発拠点の形成、また、研究開発税制の拡充や、イノベーションを阻害する規制・制度等の改革を強力に推進していただきたい。
3.自由貿易の推進
海外の成長力を国内に取り込み、経済・産業の発展に結びつけるためにもWTOドーハ・ラウンド交渉やWTO情報技術協定(ITA)交渉の早期妥結に向けた積極的な推進が必要である。また、TPPや日中韓FTA、包括的経済連携(RCEP)、日EU経済連携協定(EPA)等、我が国がリーダーシップをとって国際的なルール作りに積極的に関与・推進していただきたい。
4.国内産業の成長を支えるエネルギー政策の実施
低廉で安定的な電力供給は我が国経済・産業の基礎的条件であり、今般の電気料金の値上げが企業に与える影響は極めて甚大である。国内産業の空洞化や国富の流出を防ぐためにも、産業の将来を考えたエネルギー政策を進めていただきたい。また、省エネ機器の導入支援制度や再生可能エネルギーの導入、省・創・蓄エネに関する技術開発を積極的に推進してくことが必要である。
5.次世代を支えるIT社会基盤の整備拡充
今後の安心・安全な社会基盤の構築に向けて、マイナンバー制度の確実な実現と、公共分野におけるクラウドコンピューティング等のIT・エレクトロニクスを最大限活用する施策を早期に実施いただきたい。また、革新的なサービスを支えるプラットフォームとして、次世代放送(スーパーハイビジョン)・通信基盤の整備・拡充を進めていただきたい。
 当協会は、IT・エレクトロニクス産業が持つイノベーションの力を活用し、エネルギー、医療・ヘルスケア、農業、防災、交通等を通して低炭素社会の実現や、ITと他産業の融合による新市場創出に貢献するなど、利便性や効率性の高い社会の実現に向けて積極的に事業を推進し、日本経済の発展と世界への貢献に向けて最大限の努力を続ける所存である。

以上