社団法人 電子情報技術産業協会 ― 環境と成長の両立へ ― 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。 2008年9月のリーマン・ショックに端を発した金融危機による世界同時不況は、2009年もなお世界経済に暗い影を落とし続けました。日本のエコポイント制度や中国の家電下郷といった政策支援によって部分的には明るい兆しも見えておりますが、回復の足取りは弱く先行きは依然として不透明です。 2009年の電子情報産業の世界生産は、約190兆円、前年比15%減、と2年連続で前年を下回る結果となりました。需要の減少や為替動向の影響による企業業績の悪化は、設備投資や雇用環境、個人消費の低迷へと繋がりました。 こうした厳しい状況の中、日本のIT・エレクトロニクス産業が、海外企業との熾烈な国際競争を勝ち抜きわが国の持続的成長に貢献する、そのキーとなるのは「環境技術」と「アジア」であると考えます。 地球温暖化対策に向けて世界各国がグリーンニューディールなど環境政策に力を入れ、スマートグリッドに代表されるような環境へのITインフラ投資が世界的に進んでおります。こうした潮流の中、日本のIT・エレクトロニクス産業は自らの成長だけでなく、その最先端の技術を応用することによって、地球温暖化対策をはじめとした様々な環境問題の解決に対して、中心的な役割を果たすことができるものと確信しております。 さらに、わが国の力強い成長を確保するためには、経済成長著しいアジアを支援しつつ、その成長を自らの成長に結びつけていくことが重要だと考えます。IMFでは2010年の世界経済はプラスになると予測しており、その牽引役は中国やインドなどの新興国だと発表しています。今や世界の成長エンジンとなったアジア諸国に対して、わが国の最先端の省エネ技術を展開し、現地で最も必要とされる製品を提供することによって市場を創出していくことは、日本の持続的成長、ひいてはグローバルレベルでのCO2削減に貢献いたします。今後も新技術・新製品の開発を積極的に推進すると同時に、新市場創出のためにアジア各国との連携強化に取り組んでまいります。 さて、国内では2011年7月の地上デジタル放送完全移行までいよいよ1年余りとなりました。2009年5月に開始されたエコポイント制度の効果によって、薄型テレビをはじめとした地上デジタル放送受信機器の累計出荷台数は6千万台を超え普及は加速しております。総務省の調査によりますと、2009年9月の世帯普及率は約7割に達しております。これからのデジタル・ネットワーク社会の基幹メディアとなる地上デジタル放送の普及に向け、より使いやすく、より省エネ性能に優れた受信機器の充実を図ることはもちろんのこと、政府や放送事業者など広く関係の方々と協力しながらさらなる普及・促進に努めてまいります。 最後になりますが、国際社会や経済の多極化が急速に進む中、世界の先行きは今後も不透明な部分が多いものと思われます。こうした状況の中JEITAは、環境と成長の両立に向け、IT・エレクトロニクス産業がものづくりで人々の豊かな暮らしと持続的発展可能な社会の実現に貢献していくため、引き続き積極的に事業を推進してまいります。2010年がわが国の新たな飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。 以上 |