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電子情報技術産業協会
会長賞のお知らせ

左から時田隆仁会長、受賞した森田浩一氏、綱川智前会長。
左から時田隆仁会長、受賞した森田浩一氏、綱川智前会長。

当協会は、IT・エレクトロニクス産業の諸課題に積極的に取り組むことにより、わが国の経済発展に寄与してまいりました。会員会社をはじめとする多くの方々に、当協会の事業活動に携わっていただき、その事業の数々は、広く社会から高い評価をいただくとともに、産業・経済の発展、国民生活の向上に貢献してまいりました。換言すればこの軌跡は、わが国のIT・エレクトロニクス技術の発展の歴史そのものです。電子情報技術産業協会会長賞(JEITA会長賞)は、電子情報産業の発展、新技術の開発、新市場の開拓、国際競争力の強化、ならびに消費者保護・環境保護をはじめとする公共の福祉の増進などに顕著な功績のあった事業(個人・組織)を会長が表彰するものです。第14回となる今回は、下記1名の受賞が決定しました。

第14回 JEITA会長賞 受賞者

■将来のデジタル人材の裾野拡大に向けた取組み
森田 浩一 氏(日本ケミコン株式会社)

2010年からIT・エレクトロニクス人材育成検討会の中心メンバーとして参加し、小学生から高校生までの若年層やその教員に対して、IT・エレクトロニクスの基礎から応用までの幅広い内容の講義を全国で数多く行った。児童や生徒が理科への関心を持つきっかけ作りや、「ものづくり」などの楽しさを通じてIT・エレクトロニクス産業へ興味を高めることで、わが国若年層の理数離れとデジタルに精通した教員が少ないといった社会的課題の解決に貢献した。

また国内の技術系大学生に対しても業界の魅力PRと動向を紹介し、次世代人材の育成と確保に貢献した。

JEITA会長賞受賞に寄せて
(森田 浩一 氏)

この度、このような素晴らしい賞をいただき、たいへん光栄に存じます。十年以上に亘り、ITエレクトロニクス講座としてJEITA出前授業を継続開催してこれたのも、ご支援頂きました参加企業やJEITA事務局の皆様、またご配慮いただきました関係者皆様のお蔭と、心から感謝し、御礼申し上げます。

出前授業を通じ、3000人を超える全国の学生と交流

私は現在、JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)の人材育成検討会・初等中等教育ワーキンググループでの活動において、参加企業の皆さんと一緒に、小学校、中学校、高等学校で、ものづくりを通してひと人の生活を支える当業界で働くことの魅力や算数・数学あるいは理科・物理として誰もが学校で学んだことの応用技術が実社会の中でどのように活用され役立っているのか、さらには次々に生まれてくる新しい科学技術が未来をどのように変える可能性があるのかを、JEITA出前授業を通じて、紹介させて頂いています。

JEITA出前授業 私がJEITA出前授業の活動に初めて参加したのは、委員会に参加していた会社の先輩から元エンジニアとして「技術者の仕事」について話をしてほしいと依頼を受けたことがきっかけでした。その際は「話をする」ことばかりに気を取られ、学生への配慮が行き届かず、講演後アンケートに「スライドの字が小さい」とか「難しく解らない言葉が多い」という正直な言葉に大きなショックを受けましたが、同時にアンケートの回答に「話を聴いてものづくりの仕事に興味を持てた」、「エンジニアになりたい」という言葉を目にした時の喜びは決して忘れることのできない体験でした。その時の気持ちを忘れず、いまでも毎回、新鮮な気持ちで学生に向かい、誰もが話の内容をイメージできるように、会話をしながら話をするよう心掛けています。

JEITA出前授業に対する、学校側からの要望は、進路分けの前のキャリア教育から、情報教科テーマについての専門的な解説、あるいは指導要領だけではうまく実践できない電気・磁気の理科実験、など多岐にわたります。初等中等教育ワーキング内でも出来る限り学校側の要望に沿った出前授業を行うことを心掛けていますが、講師を担当頂くメンバー企業側の負担も決して軽いものとはいえず、現時点における最大の課題として、言わば「社会貢献」の意味合いが強いこの事業に賛同、参加頂ける企業をどうしたら増やすことができるかということが挙げられます。時代とともに、出前授業へのニーズは変化していきますが、ものづくりに携わる人材育成の大切さは変わりません。今回受賞した会長賞は、当該ワーキングに参加頂いているメンバー各社の皆様やご支援頂いている企業の皆様と一緒に表彰されたものと考えております。

今回の受賞を糧に、引き続き微力ながらも当業界の人材育成に貢献できればと思います。

略歴:森田 浩一 氏

1984年、日本ケミコン株式会社入社。2年間、九州大学工学部受託研究員として「アルミ電解コンデンサ劣化診断」研究に参加した後、スイッチング電源・ハイブリッドICの開発に従事。1992年米国Raytheon Semiconductor社に出向、半導体製品設計手法を習得した後、ASIC受託開発に従事。2000年からは、技術マーケティングに基づく中長期の経営戦略立案業務に従事し、現在に至る。
2010年よりJEITA人材育成検討会・初等中等ワーキングにおいて初等教育機関向け出前授業等の活動に参加、現在当該ワーキングの主査を務める。