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IEC TC124マンチェスター会議の報告

2018年5月14~16日、IEC TC124(ウェアラブルエレクトロニックデバイス及びテクノロジー)の第2回総会が英国・マンチェスターにて開催されました。

IEC TC124設立の経緯、国際及び国内体制

TC124設立の経緯は、2014年11月、IEC東京大会のSMB(標準管理評議会)会議において、韓国からウェアラブルスマートデバイスに関するTC(技術委員会)の新設が提案されたことに遡ります。約2年にわたるSMBでの慎重な検討を経て、2017年2月のSMBメキシコシティ会議において、TC124として新設することが正式に承認されました。TC124の幹事国は、提案国である韓国が担当し、国際幹事には、Jae Yeong Park氏、副幹事にはDeok-kee Kim氏とJungchul Lee氏が就任、議長は日本が担当することになり、平川秀治氏(東京電機大学)が就任しています。

2017年7月、JEITAは、日本工業標準調査会(JISC)の承認のもと、国内審議団体として「TC124国内審議委員会」を設立しました。TC124国内審議委員会の委員長には、東京大学大学院工学科教授の相澤清晴氏にご就任いただいています。さらに、2018年2月、TC124国内審議委員会の活動を産業界として強力にサポートするため、ミラー組織として「ウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会」を立ち上げました。専門委員会の傘下にE-Textile標準化小委員会とWEシステム標準化小委員会を組織して、他国からの提案への対応と、日本発の提案の準備を進めています。

IEC TC124マンチェスター会議の概要

TC124マンチェスター会議の参加者
TC124マンチェスター会議の参加者

今回はTC124の第2回目の総会になります。幹事国である韓国からは20名を超えるメンバーが参加し、各国からの参加者並びに各リエゾンTCメンバーの出席も第1回総会より大幅に増え、総勢50名の参加となりました。第1回に比較すると、特に欧米からの出席者が増えていることが特筆されます。

会議の様子
会議の様子

本会議の前日午後に、議長, 幹事・副幹事, IEC中央事務局のオフィサー, 開催国である英国の代表委員, 及び日本の代表委員が集まり、会議の運営スケジュール等についての事前調整が行われました。また、韓国・英国・日本の3ヶ国が立候補していたWG2(E-textiles)コンビナーの人選について予備協議が行われ、3ヶ国での共同コンビナーの前例が無いことから、英国と日本の2ヶ国がココンビナーとして担当することが合意されました。

本会議は5月14日の午前から始まり、冒頭、平川国際議長による開会宣言とマンチェスター大学からの歓迎挨拶が行われました。

①ロールコール、アジェンダの確認、前回総会のレビュー、IEC中央事務局からの報告、国際幹事による前回総会(2017年9月)以降の動きに関する報告があり、つづいてリエゾン報告が行われました。リエゾン報告は、IEC TC47,TC101,TC110,TC119,ISO/IEC JTC1/SC41,ISO TC38及びETSIのリエゾン代表によって活動の紹介と情報提供が行われました。また、関係する各TC等とのリエゾン委員の確認が行われました。TC124がリエゾン関係を構築するTC等の詳細は以下の通りです。

IEC関係
TC21:
蓄電池
TC29:
電気音響
TC47:
半導体デバイス
TC62:
医用電気機器
TC78:
活線作業
TC91:
電子実装技術
TC100:
オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステム及び機器
TC101:
静電気
TC106:
人体ばく露に関する電界、磁界及び電磁界の評価方法
TC108:
オーディオ・ビデオ、情報技術、通信技術分野における電子機器の安全性
TC110:
電子ディスプレイデバイス
TC119:
プリンテッドエレクトロニクス
SyC AAL :
自立生活支援 (Active Assisted Living )
ISO/IEC JTC1関係
SC41 :
インターネット・オブ・シングスと関連技術
ISO関係
TC38:
繊維
TC94:
個人安全-個人用保護具
TC150:
外科用インプラント
TC172:
光学及びフォトニクス
TC194:
医療機器の生物学的安全性及び臨床評価
その他の標準化機関関係
ETSI :
欧州電気通信標準化協会(European Telecommunications Standards Institute)

②Pメンバー国(Participating Countries)のレビューが行われました。TC124のPメンバー国は14ヶ国です。今回、本会議に出席していないPメンバー国:ベルギー、デンマーク、インド、マレーシアに対しては、国際幹事から次回総会への参加ないし設立予定のWGに専門家を派遣するよう呼びかけることが確認されました。

③既に提案されているNWIP(新業務項目提案:NP)の将来的な取り扱いWGについての調整を行うために設立されたAHG1のレビューが行われ、暫定WG1(Terminology)、暫定WG2(E-textiles)、暫定WG4(Devices and Systems)にて取り扱うことになった旨が報告されました。なお、AHG1は正式なWGが設立見込みとなったために解散することになりました。

④既提案の5件のNWIP (NP)のレビューが行われました。この5件はいずれも韓国からの提案であり、本会議の直前になる4月下旬~5月初旬に投票期日が設定されていました。投票の結果、WG1が扱う「用語」、WG2が扱う「洗濯耐久性評価」、WG4が扱う「抵抗歪センサー」、「低温ヤケド評価」の4件は賛成投票数、エキスパート参加国数の条件を満足しNP成立と同時にWGが正式に発足することになりました。WG4の扱いになる見込みの「グローブ型センサー」については、エキスパート参加国数が足りず保留となりましたが、会議当日に2ヶ国の参加表明があり後日承認されました。

⑤各WGのコンビナーについては、WG1:米国とフランス、WG2:英国と日本、暫定WG3(Materials):ドイツ、WG4:韓国がそれぞれ就任することが決定されました。

日本メンバーによるプレゼン
日本メンバーによるプレゼン

⑥PWI(予備業務項目)の紹介が行われました。韓国から「ウェアラブル用エレクトロクロミックフィルムの試験方法」、「皮膚圧測定センサー」についてのプレゼンが行われました。日本からは、「導電糸の試験方法」、「導電布及び絶縁層の試験方法」、「E-Textile用スナップホック型コネクタに関する調査(TR)」、「smart-BAN (Body Area Network)」のプレゼンを行いました。

⑦SBP(戦略ビジネスプラン)のレビューが行われ、AATCC※1、ASTM※2、IPC※3とのリエゾン(カテゴリーC※4)を検討することが追記されることになりました。

※1 AATCC:
American Association of Textile Chemists and Colorists
※2 ASTM:
ASTM International
(旧称:American Society for Testing and Materials)
※3 IPC:
IPC-Association Connecting Electronics Industries
(前身:Institute for Printed Circuits)
※4 カテゴリーC:
WGレベルのリエゾン。WGの業務に専門的な貢献をし、かつ積極的に参加する機関が対象。

⑧次回以降の総会は、IEC大会にあわせて、
第3回総会:2018年10月22?24日に韓国・釜山
第4回総会:2019年に中国・上海
にて開催することになっており、2019年の春頃にWG会合を計画することが確認されました。

今後の見通し・日本の課題について

日本は議長国として、幹事国である韓国と連携してTC124の運営を円滑に進めて行く役割が期待されています。まずウェアラブルエレクトロニクス標準化専門委員会の2つの小委員会の活動としては、PWIに基づき予告したNWIPを第3回総会の審議に間に合うように提案する必要があります。また韓国からの既提案については、国内産業への影響を見定めながら、適正な国際標準となるようにサポートをしていきます。

ウェアラブルエレクトロニクスは今後の成長が期待されている分野であり、会員企業の皆様の積極的な参加をお願いいたします。