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プレスリリース
2004年電子工業の生産見通し
(2003年12月17日)


総論
電子工業生産金額推移 2003年のわが国電子工業の国内生産は長引く不況から大幅な落ち込みとなった昨年、一昨年の低迷をようやく脱し、3年振りにプラスに転じるものと見込まれる。

これはデフレ経済下で個人消費は伸び悩んでいるものの、アジア向けを中心に輸出が堅調に推移し、設備投資も持ち直してきたことから、デジタル家電を牽引役に、昨年大きく落ち込んだ携帯電話の大幅な伸長やこれら高機能なデジタル機器の増産に伴う半導体等の大幅な需要回復によるものである。

薄型テレビ、DVDレコーダ等のデジタル家電に牽引された今回の拡大基調は2004年においても引き続き好調に推移するものと思われ、一部には年後半景気が減速するとの見方もあるが、2年続けてプラス成長するものと予測される。2003年、2004年の生産額をそれぞれ19兆823億円、前年比105.8%、20兆3,137億円、前年比106.5%と予測した。

民生用電子機器部門の生産は音声機器等を中心とした従来型機器は海外生産が一層進展しているものの、DVDレコーダ、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステム等の高機能なデジタル機器は順調な伸びが見込まれ、またPDP、液晶等の薄型テレビも地上デジタル放送の開始やアテネ五輪の開催等のプラス要因もあり、堅調に推移するものと思われることから、2003年、2004年とも2桁を超える大幅増と予測した。

産業用電子機器部門は昨年大幅な落ち込みとなった主力の携帯電話がカメラ付き携帯電話を牽引役に一転して大幅増となっており、もう一方の主力機器であるパソコンも海外生産の進展や需要の伸び悩みはあるものの、今後、景気回復に伴う設備投資の増加、株高を背景とした個人消費の伸びも期待されることから、2003年は3年振りにプラスに転じると予測した。また2004年もプラス成長が続くものと予測した。

電子部品・デバイス部門は薄型テレビ、DVDレコーダ等のデジタルAV機器市場の拡大、IT関連投資の伸長や携帯電話市場の回復、また電子制御部分が大幅に増加した自動車等への利用拡大により半導体等の需要が大幅拡大しているため、2003年は3年振りにプラスに転じ、2004年も大幅増となるものと予測した。

(単位:億円、%)
 2002年
(実績)
2003年
(見込み)
2004年
(見通し)
 前年比 前年比 前年比
民生用電子機器19,781105.422,726114.925,330111.5
産業用電子機器75,02875.676,031101.377,249101.6
電子部品・デバイス85,53298.492,066107.6100,558109.2
電子工業計180,34088,0190,823105.8203,137106.5
出 所:実     績=経済産業省生産動態統計
見込み、見通し=(社)電子情報技術産業協会
(注)単位未満四捨五入により内訳と合計が一致しない場合がある。


(1)2003年の概況
増減率推移 2003年のわが国電子工業の国内生産は年前半中国、香港を中心としたSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行やイラク戦争が多少のマイナス要因となったものの、全体としては概ね堅調に推移した。特に6月以降は長らく低迷を続けていたわが国経済並びに米国経済にも明るい兆しが見え始め、デジタル家電に牽引された今回の回復基調は確かなものとなり、3年振りにプラスに転じるものと予測される。

生産額の予測値は19兆823億円、前年比105.8%とした。再び19兆円を回復するものの、金額規模的には1987年当時の水準にとどまる。

民生用電子機器部門の生産は従来型機器の海外生産移転が進展しているものの、高機能デジタル機器については極めて堅調に推移し、特にPDP・液晶等の薄型テレビ、DVDレコーダ、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステム等の映像機器は大幅な伸びが見込まれ、2兆2,726億円、前年比114.9%と予測した。

産業用電子機器部門は主力となる携帯電話がカメラ付き携帯電話を牽引役に、第三世代携帯電話へのシフトも順調に推移していることから大幅増が見込まれる。また、長らく低迷を脱し切れないでいたパソコン等コンピュータ関連機器についても、年後半、景気の持ち直しとともにビジネス系、コンシューマ系とも回復基調にあり、4月からスタートしたIT投資促進税制の導入効果も徐々に現れてくるものと思われことから、微増ながら7兆6,031億円、前年比101.3%と予測した。

電子部品・デバイス部門は現在好調な携帯電話、デジタルAV機器、自動車関係に加えて、今後、景気の回復とともにパソコン等産業用電子機器に対する企業の情報化投資も増大してくるものと思われることから、9兆2,066億円、前年比107.6%と予測した。


(2)2004年の見通し
電子工業生産構成比推移 2004年のわが国電子工業の国内生産は内外の景気の動向に不透明感はあるものの、前年に続きデジタル家電を牽引役に概ね好調に推移する見通しである。

2004年は米大統領選挙の年に当たるが、わが国経済に大きな影響を及ぼす米国経済はブッシュ政権が打ち出した低金利政策や減税策が民間設備投資や個人消費を予想以上に押し上げ景気回復を鮮明なものにしているが、この回復基調は少なくとも減税効果が残る年前半までは持続するものと思われる。またアジア経済は前年のSARS終息以降消費は拡大しつつあり、米国経済の好調に支えられた輸出増などから堅調に推移するものと見込まれる。

一方、欧州経済は景気低迷が続いているものの、ユーロ圏経済の50%を占めるドイツ、フランスの経済に外需を中心としたものではあるが景気回復の兆しが見られ、今後も緩やかながら回復に向かう見通しである。また、わが国経済も依然厳しい状況が続くと見込まれるものの、緩やかな回復基調を辿り、景気回復をより確かなものにすると思われることから、2004年のわが国電子工業の国内生産は20兆3,137億円、前年比106.5%と予測した。

民生用電子機器の生産は海外生産比率が高い音声機器を中心とした従来型機器は減少するものの、PDPや液晶の薄型テレビ、地上デジタル放送に伴うデジタルテレビ、またDVDレコーダやカーナビゲーションシステムなどに引き続き堅調な伸びが見込まれることから、2兆5,330億円、前年比111.5%と2年続けて2桁増と予測した。

産業用電子機器の生産はパソコンの中古市場の立ち上げや海外生産の進展がマイナス要因となるものの、携帯電話の第三世代機やカメラ付きへの買替需要が引き続き堅調に推移するものと思われ、景気の回復とともに企業のIT投資や個人消費も伸長するものと予想されることから、7兆7,249億円、前年比101.6%のプラスと予測した。

電子部品・デバイスの生産はデジタルAV機器、携帯電話、パソコン等の生産増、また自動車等での需要拡大により、10兆558億円、前年比109.2%と予測した。


2004年電子工業の生産見通し ― 総括表 ―

 
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