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プレスリリース

2003年電子工業の生産見通し
(2002年12月19日)


総 論
電子工業生産金額推移 2002年の我が国電子工業の国内生産はサッカーワールドカップ等のビッグイベントを追い風に、前年の不振を一気に脱するものと期待していたが、我が国株価が相変わらず低迷していることやアメリカ経済の不透明感、またイラク・中東情勢の先行き不安等により、前年実績をさらに下回り、1990年以降では最低水準の19兆3,221億円、前年比91.5%になるものと予測される。

これは海外生産の一層の進展や前年からの世界的なIT不況の中で、民間設備投資や個人消費の低迷等により、主にパソコンや携帯電話の需要不振並びにその影響を受けた半導体集積回路の需要の伸び悩みによるものであった。しかしながら、本年下半期からは外需を中心に徐々にではあるが回復の兆しもみえ始め、特に電子部品・デバイスの回復基調が鮮明になってきた。

2003年の我が国電子工業の国内生産は依然厳しい状況が続くものの、民生用電子機器の堅調な伸びと産業用電子機器の回復を受け、電子部品・デバイスも需要回復が見込まれることなどから、20兆139億円、前年比103.6%と微増ながらプラスに転じると予測した。

民生用電子機器部門の生産は高機能化、高画質化が進んでいるPDP、液晶テレビ 、DVD、デジタルカメラ等は堅調な伸びが見込まれるが、音声機器を中心に従来型AV機器は一層の海外生産が進むと見られ、2002年、2003年とも微増にとどまるものと予測した。

産業用電子機器部門は主力の携帯電話は普及率(PHS含む)が6割を超え新規需要が頭打ちの状態にあることから、2002年は大幅減と予測されるが、2003年については本年下半期よりカメラ付携帯電話が堅調に推移していることや、第三世代携帯電話(3G)へのリプレースも徐々に進展するものと思われるため微増すると予測した。またパソコンはビジネス系、コンシューマ系とも本年下半期からの回復基調により、2002年は微減となるものの、2003年は微増と予測した。

電子部品・デバイス部門は外需が堅調に推移したものの、主として産業用電子機器の影響を受け2002年は微減となるが、2003年は景気回復に伴い電子機器の生産回復が見込めることから3年ぶりの増加を予測した。

(単位:億円、%)
 2001年2002年2003年
(実績)前年比(見込み)前年比(見通し)前年比
民生用電子機器18,76485.618,853100.519,573103.8
産業用電子機器103,94587.787,14783.888,871102.0
電子部品・デバイス88,46476.687,22298.691,695105.1
電子工業計211,17382.5193,22191.5200,139103.6
出 所:実     績=経済産業省生産動態統計
見込み、見通し=(社)電子情報技術産業協会
(注)単位未満四捨五入により内訳と合計が一致しない場合がある。


(1)2002年の概況
増減率推移 2002年の日本経済は、構造的課題が未解決のため、内需回復の先導役である民間設備投資も動きが鈍く、個人消費も横這いで推移しており先行きの不透明感は増している。

海外経済では、米国の景気は、住宅建設が高い水準にあるものの、個人消費の伸びは鈍化、設備投資の下げ止まり等により、緩やかな景気回復になっている。欧州経済では、ドイツは緩やかに持ち直していたが減速、フランスは着実に持ち直し、イギリスは回復基調にある。またアジア経済は米国経済の回復の遅れもあるが、韓国、台湾、シンガポールなどは回復基調にある。中国は内需を中心に拡大のテンポが高まっている。

2002年の我が国電子工業の生産は、国内の景気回復の遅れを受け減少していたが、5月からの外需の伸びにより、19兆3,221億円、前年比91.5%まで回復すると見込まれる。

民生用電子機器部門の生産は、省スペース性・インテリア性を兼ね備えた液晶テレビ、多機能化及び新車への装備率が上昇したカーナビゲーションシステム、サッカーワールドカップ放送があったBSデジタルテレビの高画質録画のためのDVD−ビデオ、低価格化・普及拡大したデジタルカメラなどが好調に推移したが、VTRや音声機器等の海外生産シフトが進み前年並みの1兆8,853億円、前年比100.5%と見込まれる。

産業用電子機器の生産は、通信機器、電子計算機及び関連装置、電子応用装置、電気計測器、事務用機械とも軒並み低迷するが、前年まで2桁の伸びを示していた携帯電話は移動電話の人口普及率が6割を超えたことにより2桁の減少、パソコンも前年に引き続き2桁の減少となり、8兆7,147億円、前年比83.8%と見込まれる。

電子部品・デバイス部門の生産は、外需は増加したものの、民生用電子機器の停滞、産業用電子機器の大幅減少を受け、8兆7,222億円、前年比98.6%と前年に引き続き減少が見込まれる。


(2)2003年の見通し
電子工業生産構成比推移 2003年の世界経済は、米国経済の景気回復の動向にかかっている。米国の景気はイラク問題の動向にもよるが、前半は個人消費、設備投資とも弱含みで推移するものの、後半からはリストラ奏効による企業収益の回復、低金利効果の浸透などにより緩やかな回復基調で進むと予測される。欧州は、消費、投資の大幅な伸びは期待できず、これまでと同様に輸出動向に左右される展開が続くと予測される。アジアは、各国とも対米依存度が高いが、中国は米国だけでなく東アジア圏への輸出により高い成長率が見込まれる。

2003年の我が国電子工業の生産は、依然厳しい状況が続くものの、20兆139億円、前年比103.6%と予測した。主力の携帯電話は買替需要が中心となるものの3Gサービス、カメラ付携帯電話などの高機能製品の需要喚起に加え、パソコンも企業向けを中心に回復に転じ、電子部品・デバイスも機器の増加により回復すると予測した。

民生用電子機器の生産は、海外生産比率が高い従来型AV機器は音声機器を中心に減少するものの、映像機器ではPDPやデジタルテレビ、液晶テレビ、カーナビゲーションシステムなどが引き続き堅調な伸びが見込めることから1兆9,573億円、前年比103.8%と予測した。

産業用電子機器の生産は、携帯電話が3Gやカメラ付きへの買替需要、パソコンは海外生産シフトが進むもののビジネス市場の回復により堅調に推移していくと見られ、全体では8兆8,871億円、前年比102.0%と予測した。

電子部品・デバイスの生産は、デジタルAV機器、携帯電話・パソコンなどの需要回復により、9兆1,695億円、前年比105.1%と予測した。中でも電子デバイスの主力である半導体集積回路は、デジタル映像機器の市場拡大と、携帯電話・デジタルカメラのメモリ需要拡大により前年比111.2%の伸びを予測した。



2003年電子工業の生産見通し ― 総括表 ―

 
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