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プレスリリース
EECA/ESIAJEITAKSIASIATSIA

第6回「世界半導体会議(WSC)」共同声明
(2002年5月16日:米国カリフォルニア州ニューポートビーチ)
欧州半導体産業協会(ESIA)
(社)電子情報技術産業協会(JEITA)
韓国半導体産業協会(KSIA)
米国半導体工業会(SIA)
台湾半導体産業協会(TSIA)

    本日、欧州半導体産業協会(EECA-ESIA)、(社)電子情報技術産業協会(JEITA)、韓国半導体産業協会(KSIA)、米国半導体工業会(SIA)及び台湾半導体産業協会(TSIA)は、米国カリフォルニア州ニューポートビーチにて「第6回世界半導体会議(WSC)」の会議を開催した。本会議は、1999年6月10日に承認された「新世界半導体会議設立に関する合意」に基づき開催された第3回目の会議となる。

    WSCは、情報通信製品・サービスの世界市場拡大、公正な競争の促進、技術革新の促進、健全な環境・安全対策の推進といった半導体産業における世界的な関心事項に取り組むことを目的として、環境対策、知的財産権保護、貿易と投資の自由化及び市場開発等の分野における協力を推進している。WSCの活動は、世界貿易機関(WTO)ルールとWSCメンバーを構成する業界団体の国・地域で定められた法律に基づき、公正であることと市場原理を尊重することを前提として実施している。また、WSCでは、市場は開放されかつ競争的であるべきことを確認した。本会議には、独占禁止法弁護士も出席した。

    会議は、アギアCEOのジョン・ディクソン氏(SIA)によって議事が進められ、各国業界団体を代表して、三菱電機・長澤紘一氏(JEITA)、フィリップスのスコット・マクレガー氏(EECA-ESIA)、三星電子の李潤雨(ユン・ウ・リ)氏(KSIA)、TSMCのモーリス・チャン氏(TSIA)から開会の挨拶があった。

    会議には下記事項に関するレポートが提出・検討され、これらに関する活動が承認された。

    1. 世界的な環境保護を目指した協力体制

    2. WSCは、健全かつ科学的根拠に基づく積極的な環境対策を推進することを改めて表明し、地球環境の保護を目指して世界各地域の半導体業界が実施してきた貢献を今後とも継続していくことを確認した。

        (1)PFC排出削減
        WSCメンバー傘下企業は、引き続き、PFC排出削減に向けた努力を行う。JEITA、EECA-ESIA、SIAは1995年を基準年として、KSIAは1997年を基準年として、TSIAは1998年(1997,1999年の平均)を基準年として、PFCの排出を2010年で少なくとも10%削減することを確約している。

        (2)省エネルギー
        半導体産業がこれまで成功してきたことの理由の一つは、消費者へ利益をもたらすと共に環境により優しく、より望ましい製品を供給することが出来たことにある。エネルギー資源の効率的な使用は、半導体製造メーカ及び関連産業双方の製造コストを継続的に低減する重要な要素である。WSCは、省エネルギー問題を重要課題として取上げ、世界の半導体製造メーカ間における協力、意見交換を促進する「省エネルギーコンセンサスぺーパー」を採択した。

        (3)化学物質の管理
        WSCは引き続き、化学物質管理の活動を継続する。WSC環境・安全(ESH)タスクフォースで今後の課題を検討してきた。化学物質のリスク評価、汚染防止及び国際的な環境・安全の法制化に関する調査等がその内容である。

        (4)ESHガイディング・プリンシプル
        WSCメンバーは、半導体産業が健全な環境対策を通じて世界経済の発展と成長を支えていくべきであることを自覚し、環境問題を共通課題として、協力して解決していくことを表明している。この目標を達成するため、WSCは「ガイディング・プリンシプル」を承認した。WSCは、この「ガイディング・プリンシプルズ」がメンバー企業にも行き渡るようにしていきたいと考えている。この「ガイディング・プリンシプルズ」は本共同声明に添付してある。

    3. インターネット社会の成長を支えるために

    4. 半導体は、インターネットとその応用の拡大を支える鍵となる技術である。インターネットを支える情報技術(IT)の成長は、教育を改革し、新しい産業を創造し、既存産業を改革している。さらに、コミュニケーションのスピードを加速している。インターネット及びインターネットのインフラと応用の発展は、半導体の需要を掘り起こしている。インターネットを使った取引は、可能な限りオープンであるべきであり、国際的な規則、国内的な規制はそれを促すものであることが極めて重要である。

      多くの政府及び当局、国際的な機関は、税制、関税から個人のプライバシー、セキュリティまで多くの施策を策定しつつあり、その施策は、インターネットが今後共成長を続けられるか、否かに、大きな影響力を有している。世界貿易機関(WTO)ドーハ閣僚宣言では、「電子商取引は、通商の新しい挑戦と機会を創出しており…(WTOメンバーは)電子商取引の将来における発展に望ましい環境の創出と維持の重要性を認識している」と述べている。WSCはこのステートメントを強く支持し、政府及び当局にインターネットと電子商取引の発展を阻害することなく、成長を促す政策を採用するよう呼びかけるものである。最も望ましいアプローチは、政府が予知可能かつ透明性の高い規制を確立すると同時に、可能な限り産業界の責任に委ねる事である。WTOが電子商取引に関する取組みをすることになれば、下記の点を反映することになるであろう。

        ドーハ閣僚会議では2003年の次回WTO閣僚会議まで電子商取引に対する関税を一時停止することが決定されたが、これを恒久化すべきである。
        電子商取引においては、物理的な形で配送される商品と比べて不利な扱いを受けるべきではなく、最も制限の少ない扱いがなされるよう国際的な合意が形成されるべきである。
        政府は電子商取引を阻害するような通商関連施策は控えるべきである。規制が必要な場合には、政府は透明で、差別のない手段をとるべきであり、かつ最も通商上の制約が少ないものとすべきである。

      WSCは、上記の特別なアプローチについて再確認した。特に、メモリ部品に特別に課税するとの最近の動きを、インターネットから得られる消費者の利益に悪影響を及ぼす例としてあげた。

      WSCは、半導体に関する政府間会合(GAMS: Governments Authorities Meetings on Semiconductors)にて政府及び当局に正式に要請する予定である。インターネットに関する提言書を添付した。

    5. 自由で開放された市場

    6. 先端的な半導体技術を容易に入手可能にすることにより、デジタル時代の競争に耐え得る生産性の向上及びインフラの構築を通じて経済発展を促すものである。このため、半導体及び他の情報技術(IT)業界の活用と投資を促す政策は、ドーハ閣僚会議の中核をなすべきものである。

      WSCは、世界の市場から関税及び非関税障壁が撤廃されるべきであることを改めて確認し、政府に対しては、知的財産権保護、政府の施策と規制の完全な透明性確保、全ての市場において外国製品の差別撤廃、技術移転を前提とする投資制限の抑制を求めるものである。WSCは、世界中の消費者が、情報技術(IT)の恩恵を享受できるよう、情報技術協定(ITA)未加盟の国々にも加盟を促すものである。

    7. 製品に対する規制

    8. 半導体等の先端技術製品は、世界中の市場において様々な規制の対象となることがいっそう増えている。消費者や環境を保護するために、製品に対する何らかの規制が必要であれば、それは差別的なものではなく、科学的な根拠や公開された技術情報に基づくものでなければならない。規制が法的又は実質的差別をもたらすものであったり、科学的根拠に欠けるものであったりすれば、貿易障壁となり市場参入をおおいに阻むものである。現在のWTOルールに則って、貿易規制は最低限度のものにとどめるべきである。

    9. 公正かつ効果的な反ダンピング措置の検討

    10. ドーハ閣僚会議で反ダンピング問題の討議が行われていることに鑑み、公正かつ効果的な反ダンピング措置の検討をしてきたJSTC(共同運営委員会)反ダンピングタスクフォースからのレポートがWSCに提出された。WSCとしては、2003年の次回ミーティングでタスクフォースの今後の活動内容をレビューする。

    11. 半導体市場データ分析

    12. WSCでは、半導体の市場規模、市場の成長等半導体の市場動向について報告を受け、意見交換を行った。長期的に見れば、半導体業界は依然として成長力があり、世界中の消費者及びビジネスに利益をもたらし続ける産業である。

    13. 将来の半導体技術の開発

    14. 生産性の向上は半導体技術の進歩によるところが大きかった。この傾向が続くことは重要なことである。2010年までには、メモリーのコストは現在の20分の1まで削減されるだろうし、マイクロプロセッサのスピードは10倍となろう。これらによって、ストリーミングビデオの配信、遠隔医療、他の重要な意味をもつ先端的応用が可能となる。WSCは、これらの発展のためには、投資の拡大と広範な技術が必要であると認識している。これらの課題に適切に取り組むには、国際的な協力と努力が必要である。このため、WSCでは引き続き、「半導体技術に関する国際フォーラム(IFST)」と「半導体技術の国際ロードマップ(ITRS)」の活動を支援していく。

    15. 各国政府への報告

    16. 本日の結果については、9月に東京で開催されるWSC代表者と関連各国政府及び当局との年次会合に提出される。政府及び当局へ提出されるレポートは、以下の点が含まれる。

        (1)半導体市場に関する最新レポート
        (2)WTO他によって検討が望まれる通商関連事項及び市場開放策に関する提案
        (3)インターネット政策に関する提案
        (4)環境・安全に関する協力活動のレポート及び法規則に関する意見具申

    17. 次回会合

    18. 次回WSC会議は、2003年5月に欧州半導体産業協会(EECA-ESIA)の主催によって開催される。

    19. 主要な文書とWSCホームページ

    20. WSC関連の文書は、WSCのwebsiteに掲載されている。
      http://www.semiconductorcouncil.org

      WSC参加メンバーの情報については、下記ホームページ参照。

以 上

 
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