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プレスリリース

平成17年5月19日
第9回世界半導体会議(WSC)の結果について
(社)電子情報技術産業協会

本日、欧州半導体産業協会(EECA-ESIA)、(社)電子情報技術産業協会(JEITA)、韓国半導体産業協会(KSIA)、米国半導体工業会(SIA)及び台湾半導体産業協会(TSIA)は、京都において第9回世界半導体会議(WSC)を開催し、日米欧韓台5極の半導体業界のトップ19名が活発な意見・情報交換を行いました。出席者は別紙のとおりです。
 今回のWSCは当協会(JEITA)が主催し、JEITA半導体部会長の伊藤達氏(株式会社ルネサステクノロジ社長兼CEO)が議長を務め、共同声明を採択しました。以下にその概要をお知らせ致します。

1.中国の参加問題

 WSCは、世界の半導体産業の中で大きなプレゼンスを持ち、重要な地位を確保している半導体業界が参加することを望んでおり、引き続き中国半導体行業協会(CSIA)の参加を求めることを再確認した。

2.環境問題

(1) PFCの排出削減:PFC排出削減計画では、半導体の生産が増加しているにもかかわらず、WSCのメンバーに対してPFCの排出量を2010年までに基準年より10%以上削減することを呼びかけている。基準年は、JEITA、EECA-ESIA、SIAが1995年、KSIAが1997年、TSIAが1998年*(1998年*は、1997と1999年の排出量の平均)となっている。今後、毎年排出量に関するデータを発表することとなった。
(2) 省エネルギー:エネルギー削減目標の達成において半導体業界の戦略的サプライヤーが重要な役割を果たすことを認識し、エネルギー削減の問題についてサプライヤー側との作業を行ってきた。その結果、WSCとSEMIとの間で、装置のエネルギーの効率化について合意した。
(3) 化学物質の管理:化学物質のリスク等を評価するために必要な情報をユーザがサプライヤーから収集できるツールとして、CPIF(Chemical Properties Information Form)を完成させ、各極のウェブサイトで公表した。また、汚染防止として、化学物質削減のためのBKM(Best Known Method)についても情報交換を行った。
(4) 数値目標:WSCではエネルギーや水の使用、廃棄物に関する指標を定め、それに向かって我々の活動が推進される目標など数値目標を設定している。WSCは、このような目標を達成するため、数多くの指標を設定している。
(5) その他:WSCは、EUの化学物質に関するREACH政策、各国・地域の化学物質規制などについて強い関心を持っている。

3.自由で開放された市場

 昨今、マルチチップICといったパッケージ技術が進化し、関税面で一部半導体の分類の見直しが行われている。WSCメンバーは、この見直しと共に関税撤廃に向けた各極政府/当局の協力に感謝するとともにマルチチップICの関税撤廃が早期に実現することを期待している。

4.全てのサービス/内国民待遇

WSCは、中国VAT問題がWTOの場において速やかにかつ前向きに解決されたことを高く評価する。国際貿易や投資を歪曲する政策は、やはり回避すべきである。

5.知的財産権の効果的保護

 WSCは全ての政府/当局に対して、効果的な知的財産権の保護を実施することを改めて求める。WSCは、TRIPS(知的財産権の貿易側面)協定の対象となる知的所有権の侵害行為への取締りをWTO加盟各国に義務付けるTRIPS協定第41条に注目している。WSCは一部諸国における取締りは効果的ではなく、更なる抑止力の強化が必要と考える。
 WSCは2004年WSC声明においてレイアウト・デザイン(マスクワーク)の光学的コピーに基づく模倣を防止するため、「レイアウト・デザインの知的財産に関する方針」を採択し、業界慣行にかかるガイドラインを提言した。
 この間、半導体の技術資産をとりまく環境も変化し、レイアウト・デザインの保護に関する国際条約(TRIPS)の実効性を改めて確認することが必要となっている。公正な競争に基づいた半導体技術資産の適切な保護のために、レイアウト・デザインの保護に関する上記条約を調査することとなった。

6.技術規格

 WSC は、基準が必要な場合には、可能な限り業界主導、オープンかつ自主的なものとすること、そしてTBT(貿易の技術的障壁に関する協定)を含む現行の全てのWTOルールに完全に準拠したものとすることを提言する。

7.「インターネット社会」の成長を支えるための措置

 半導体は情報技術(IT)革命実現の鍵を握る技術であるとともに、インターネット社会が成長・拡大するためには不可欠なキーコンポーネントである。この分野における取引は可能な限りオープンであるべきで、国際的な規則、国内的規制がオープンで競争的な市場を促すものであることは極めて重要なことである。
 現行の著作権制度では、賦課金は、その用途に関係なく全ての技術に不当かつ無差別に課せられている。また、消費者がアーティストに直接代金を支払い、かつ、賦課金を課することは、デジタルコンテンツを利用し享受するための新方式開発を進めようとするコンテンツプロバイダーと産業界による共同作業を阻害してしまう。WSCは、政府/当局がデジタル機器及び空のデジタル記録媒体に伴う著作権料徴収の禁止を確約し、業界によるDRM(デジタル著作権管理)整備作業を支援すべきと考える。

8.法規制問題

 WSCは、小電力無線システムにおける免許不要局への課金(電波利用料の徴収)問題に注目している。電波利用に関する政策は各国政府/当局に裁量権がある。しかしながら、免許を要しないレベルの小電力無線システムの活用は今後期待が大きい“ユビキタス・ネットワーク社会”の実現へ向けて必須であり、その自由な利用の保障が不可欠である。従ってWSCは、小電力無線システムにおける免許不要局へは一切課金(電波利用料の徴収)するべきではないと考える。また、その利用政策は、差別的なものではなく、かつ健全な科学技術に沿ったものとすべきである。
 なお、一般的に、規制は既存のWTOルールに則り、その貿易制限効果を最低限度にとどめるべきである。

9.半導体市場の分析

 半導体業界の長期展望は依然として堅実であり、これからも技術の進歩により世界中の消費者及びビジネスに利益をもたらしていくことだろう。半導体市場は、中国を含むアジア太平洋市場の急速な拡大により、更なる成長が見込まれる。

次回は、2006年5月に米国半導体工業会(SIA)の主催によってサンフランシスコで開催される。

以 上


[ご参考]

■これまでのWSC関連の重要文書は以下のWSCのウェブサイトを参照ください。
http://www.semiconductorcouncil.org

■WSC各参加団体のウェブサイトは以下のとおりです。
EECA-ESIA: http://www.eeca.org
JEITA-JSIA: http://semicon.jeita.or.jp/en/
KSIA: http://www.ksia.or.kr
SIA: http://www.sia-online.org
TSIA: http://www.tsia.org.tw


第9回世界半導体会議(WSC)出席者
第9回「世界半導体会議(WSC)」共同声明全文[PDF]
第9回「世界半導体会議(WSC)」付属文書1 PFC排出削減 [PDF]
第9回「世界半導体会議(WSC)」付属文書2 WSC-SEMI 共同白書 [PDF]
第9回「世界半導体会議(WSC)」付属文書3 電波政策 [PDF]

 
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