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プレスリリース

「2001年日本実装技術ロードマップ」刊行について
−Jisso技術による電子情報産業におけるシステム統合設計技術の確立を目指して−
(2001年3月27日)
社団法人 電子情報技術産業協会
電子システム実装技術専門委員会実装技術ロードマップ研究会


    実装技術の必要性と問題点
    1. 実装技術とは...
    2. (社)電子情報技術産業協会電子システム実装技術専門委員会(委員長=日立製作所谷本道夫氏)では、実装技術を、従来定義されていた配線基板への部品のはんだ付け搭載技術という狭義から、現在では半導体の再配線技術、半導体デバイスのパケージング技術、デバイス(半導体・受動・光等)部品のプリント配線板への搭載技術、プリント回路基板からなる電子機器筐体組立技術およびこれらのシステム設計技術からなるシステム設計統合技術であると広義に捉えている。21世紀の電子情報機器産業を支えるシステム基幹技術として必要不可欠なJisso(実装)技術のコンセプトを、国際的な標準化、技術動向の論議の場で広く普及を図っている。

    3. 現在の課題
    4. 世界を見渡せば、欧米はもとより東南アジア各国が実装技術に関する国家レベルの研究開発、ロードマップ等の諸活動を促進させており、日本だけがこの分野において極東の端で取り残されている状況になりつつある。日本が得意としていた実装技術をさらに活性化させ、情報を中心としたより付加価値の高い「モノ作り」技術とより創造的なソフト技術の社会へ移行を図る必要に迫られている。昨今言われているIT革命はその序曲にすぎない。日本が競争優位性を保有する応用商品機器の一層の差別化、さらにはシステム設計まで包含した新分野への飛躍を目指し関連業界の戦略的連携を支援し、組織横断的な技術レベルの向上を図る必要があると考えている。

    経緯と実装技術ロードマップの位置づけ

    1. 経緯
    2. 1996年以来、JEITA及び旧EIAJが推進してきた東南アジアミッション、欧米との実装技術に関する技術交流から感じ取ったことは、欧米、東南アジアは実装技術に関しての産・学・官による国家レベルでの研究開発活動とそれに伴う人材・資金の流通も活発的であったということである。日本は、組織的に、効率的に、かつ戦略的に活動しなければ日本の優位性の確保が相対的にますます困難になってきている。実装技術に関わる日本の技術陣が各業界でばらばらに活動していると、国家レベルでの活動をしている諸外国に追いつき、追い抜かれてしまうという危機感を持った。日本から何等かの形で実装技術に関する情報発信をし、諸外国と対等に議論できるデータをまとめるため、1997年に実装技術に関する工業会・学会団体の方々と「日本実装技術ロードマップ協議会」を設立し、組織を横断した活動を開始した 。

      1999年に、旧EIAJの実装技術ロードマップ研究会が世の中で初めて工業会の観点から「日本実装技術ロードマップ(Japan Jisso Technology Roadmap)」を和文・英文で刊行した。この目的は、実装技術を回路設計から電子部品(半導体、受動部品、プリント配線板等)、実装設備関連技術にまたがるシステム統合設計技術としてとらえたJisso技術の将来動向と予測目標を共有し、産・学・官によるJisso技術の研究開発に何らかの提言の一助となること願い、さらには我が国のJisso技術業界が世界に向けて情報発信を行い、Jisso技術分野における優位性を確保し続けることを願うものであった。当初の第一義的な目的は、米国、欧州、台湾、シンガポール等の主要工業会・国家レベル研究組合との技術交流におき「日本発信の"Jisso"技術のコンセプト共に、業界が一致結束して取り組んできた“Jisso技術ロードマップ”の提示」により達成してきたと自負している。

    3. 実装技術ロードマップの位置づけ
    4. 1999年度版日本実装技術ロードマップは、前述した主旨をもとに、社団法人日本電子機械工業会(EIAJ、現在社団法人電子情報技術産業協会:JEITA)を幹事組織として、社団法人エレクトロニクス実装学会(JIEP:Japan Institute of Electronics Packaging)、社団法人日本プリント回路工業会(JPCA:Japan Printed Circuit Association)、半導体産業研究所(SIRIJ:Semiconductor Industry Research Institute Japan)、社団法人日本ロボット工業会(JARA:Japan Robot Association)などの協賛を得て、我が国初の実装技術ロードマップを編纂し出版した。一方「半導体技術ロードマップ」が、半導体産業が21世紀における電子情報技術産業を支える基幹技術として将来のあり方等技術の方向付けを行い、半導体関連産業の技術課題とその解決策を明確にすることを図るもので、日米欧韓台の5極による「国際半導体技術ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductors: ITRS)」としてまとめられている。この中で半導体合パッケージに関わる部分は、日本実装技術ロードマップがデータを提供し協力している。

      今回の「2001年版日本実装技術ロードマップ」は、10年後の我が国エレクトロニクス業界のあるべき姿を想定し、半導体デバイスその他部品と電子情報機器のインターフェースとしてのJisso(実装)技術の目標を予測しその課題を明確にしたものであり、JEITAを核として関連工業会・学会の協力参加により活動している「実装技術ロードマップ研究会(Japan Jisso Technology Roadmap Council)]が隔年ごとに刊行を企画した第2回目の成果である。1999年版のロードマップでは出来なかった「システム設計を含むそれぞれの分野とのクロスカット討議による問題提議と位相合わせの努力」や「現時点での各分野におけるディフィカルトチャレンジの項目提示」を試みた。これらを基に今後Jisso(実装)技術を「システム設計統合技術」として捉え、関連産業を横断し有機的に今後取り組むべき技術開発の方向性を見いだすため、新たなる討議を2001年度から取り掛かることになる。

    日本実装技術ロードマップの今後の予定

      21世紀の電子情報産業社会においては、インターネットを先駆けとした情報技術(IT)革命の急速な進展によって本格的なデジタル社会が到来し、デジタル情報機器市場で主役の座にあったパソコンの地位に変化の兆しが見え始めている。特に日本では、インターネットで最新情報を入手できるモバイル情報機器として携帯電話、PDAが脚光を浴び、「モバイル(移動)」をキーワードとする情報技術(IT)革命が加速している。JEITA(電子情報技術産業協会)がEIAJ(日本電子機械工業会)から名称を改めた理由がここにもある。このデジタルネットワーク情報社会の進化に対応して、電子情報機器の高性能・高機能化、小型携帯化の動きが急激であり、これを支える「Jisso(実装)技術」の重要性がますます高まってきている。Jissoを取り巻く環境は多彩で且つ厳しい状況であり、さまざま実装技術が提案され実用化に向けての熾烈な国際競争の下にあると言って良い。

      JEITAを核として関連工業会・学会の協力参加により活動している「実装技術ロードマップ研究会(Japan Jisso Technology Roadmap Council)」が策定した本技術ロードマップを基に、Jisso技術業界が今後取り組むべき技術開発の方向性を見いだすため、新たなる「システム統合設計技術としてのJisso(実装)技術」に関する討議を2001年度から取り掛かることになる。これらの活動成果が、今後の本格的な産・学・官によるJisso(実装)技術業界間にまたがる水平横断的な共同開発への戦略的な提言を図る手助けとなることを期待している。さらには日本のJisso(実装)技術業界が、国際的な情報発信を行い実装技術分野における優位性を確保し、日本が電子情報産業における新たなる産業競争力を創出していくことを願っている。

以上

 
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