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JEITA Hot Issues

秋草会長 年頭所感

社団法人 電子情報技術産業協会
会長  秋草  直之

 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 さて、昨年の電子情報技術産業は、年間を通して総じて堅調に推移し、一昨年のマイナスから一転してプラス成長となり、20兆円を回復することができました。液晶テレビやプラズマテレビ、DVDレコーダ、デジタルオーディオプレーヤなどのデジタル家電が好調に推移し、パソコンや携帯電話も堅調であった結果であり、これらが日本の景気回復に大きな役割を果たしていることは、ご承知のとおりです。
 こうしたデジタル製品の市場拡大は、関連する半導体やディスプレイ、電子部品、素材産業などへの波及効果が大きく、設備投資の増大に寄与するとともに、他方では個人消費の拡大にも大きく貢献することになります。米国の景気にやや減速感が出てきていることもあり、必ずしも楽観視はできませんが、今年もこの傾向が持続することを期待しております。
 日本経済は、一時的な調整局面はあるとしても、基本的には、今年も着実に景気回復を持続していくものと見ております。個人消費がやや軟調に推移しているというものの、雇用情勢の改善が進んでいますし、民間の設備投資も広範囲な拡がりを見せております。何より企業業績が改善してきていることで、企業が守りから攻めの経営へと転じてきていることは好ましいことであり、今こそ、我が国の基幹産業の国際競争力を高め、グローバルなビジネス展開を図っていくことで、日本の経済力、すなわち国力を高めていくべきであり、少子高齢化を迎えている我が国の経済・社会基盤を、確固たるものにしていく必要があろうと考えております。
 そのためには、企業がグローバル市場で競争力を維持していけるような政策的な支援が不可欠です。先に当協会からも強く要望しておりました減価償却制度の見直しが実現したことは、その波及効果も考えると非常に大きいと考えられますし、今後は更に、法人実効税率の引き下げなども、政策的な判断により実現して頂きたいものと考えております。
 また、安倍政権が誕生して、「イノベーション25戦略」や「教育再生」に取り組まれている訳ですが、まさにIT(情報技術)やナノテク、バイオなどの先端技術を活用することで、行政、教育、医療など、国民生活に関わるあらゆる分野において、社会システム基盤を計画的、かつ早急に構築していくべきであると考えております。
 電子情報技術産業は、まさにエレクトロニクス技術と情報・通信技術を駆使して、21世紀の新しい社会システムの構築を支えていく役割を担っている訳ですが、そのためにも、基幹的な技術分野である半導体、ディスプレイ、電子部品、電子材料はもちろんのこと、情報家電ネットワーク、セキュリティ、ロボティクスなど、幅広い先端技術への取り組みが、ますます重要になってきていると考えております。
 また、これらを支える人材の育成も大きな課題であり、教育制度の抜本的な見直しを含む大胆な教育再生を実行し、21世紀の我が国の発展に繋げていくことは避けられない国の使命であり、高度人材の育成は、我が業界としても、企業経営の大きな課題のひとつであると考えております。
 他にも、電子情報技術産業を取り巻く課題は山積しております。ご承知のとおり、地上デジタル放送が4年目を迎えております。2011年の現行アナログ放送の終了について、視聴者、消費者の方々に周知を徹底していくと同時に、デジタル・ネットワーク社会の基幹メディアとしての地上デジタル放送の普及・定着を図っていくことが、我々の業界にとっても大きな課題であると認識しております。昨年12月には、視聴可能エリアが全世帯の約84%にあたる3,950万世帯に拡大し、地上デジタル放送受信機器の出荷も1,800万台を超えてきております。今年は、国や放送事業者、販売店・流通業界の方々とも協力して、更に普及が進むように積極的に努めていく方針でおります。
 環境問題では、地球温暖化対策に関して、今年、京都議定書の目標達成計画の見直しが予定されていますが、当業界としましては、半導体やIT機器等による省エネ貢献を積極的にアピールしていきたいと考えております。また、3月に施行される予定の中国の電子情報製品汚染管理弁法(いわゆる中国版RoHS)への対応、更に、製品リサイクル・省エネルギー対策の推進など、循環型社会の構築に向けた取り組みも、引き続き今年の大きな課題であると考えております。
 また、デジタルコンテンツの著作権保護のあり方に対する取り組み、私的録音録画補償金制度の見直しを含む著作権法の改正への対応、模倣品対策などの知的財産権保護への取り組み、業界団体として不可欠な標準化活動への取り組みなど、様々な問題が課題となっております。
 グローバルなネットワークが確立している今日、地球上に起こる出来事は、世界の各国に大きな影響を及ぼすことになります。米国経済や中国経済の動向、また不安定な中東情勢の行方など、世界経済・国際社会の先行きには不透明な部分もありますが、2007年が日本の社会、そして経済にとって、更なる飛躍の年となることを願い、新年のご挨拶とさせていただきます。

 
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