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JEITA Hot Issues

第2回「日米欧電子情報業界団体会議」の概要

■ はじめに

第2回「日米欧電子情報業界団体会議」が、去る3月29日(水)に、米国・ワシントンDCにおいて開催されました。
これは昨年4月に、JEITAが主催して東京で初めて開催した第1回会議に続くもので、電子情報産業の健全な発展と国際協力、そして世界経済の発展に向けて、世界の電子業界が対応すべき課題について意見交換することを目的とした会議です。
デジタル技術、ネットワーク技術の急速な進歩によって、これまでの枠を超えた製品やサービスが出現し、人々の生活の向上や世界経済の発展をもたらしますが、解決すべき課題も顕在化してきています。このため、早急に対応すべき、地球温暖化問題に関連する省エネルギー対策等の「環境問題」、WTO新ラウンド交渉や融合製品に関する「通商問題」、新たな製品やサービスに関する「知的財産保護の問題」、製造者のみならず消費者にも恩恵をもたらす「国際標準化の問題」等をテーマに、日本・米国・欧州のエレクトロニクス及びIT分野を代表する業界団体の幹部や専門家が、真摯に意見交換を行いました。

■ 会議の概要
今回の会議は、米国の2団体、すなわちITI(情報技術産業協議会)及びCEA(米国民生電子工業会)の主催で開催され、EICTA (欧州情報・通信・民生電子技術産業協会)とJEITAから、下記のとおり、それぞれの業界団体関係者が出席しました。

□会長: James Stoffel ITI Board Chairman(Kodak)
□議長: Rhett Dawson 専務理事(ITI)
□米国: Gary Shapiro専務理事(CEA)、Michael Patricone副理事、Liz Hyman税制・通商担当部長(CEA)、Ann Rollins通商担当理事(ITI)、ITI理事会メンバ ほか
□欧州: Christophe Stener EICTA Board Member(Secretary-general of HP France)、Mark MacGann専務理事(EICTA)、Sandra Alvera通商担当部長(EICTA)、EICTA関係メンバほか
□日本: 住友康祐顧問(JEITA会長代理/東芝)、金子和夫専務理事(JEITA)、大杉充(通商担当/松下電器産業)、吉田幸一(環境担当/ソニー)、平川秀治(標準担当/東芝)、光主清範(知財担当/東芝)、JEITAニューヨーク事務所及び本部事務局スタッフ

各団体の代表による挨拶の後、下記の4つのテーマについて討議が行われ、各セッション別に討議の内容及び合意事項が、コモンビュー・ペーパとして確認されました。
<テーマ別会議1.「環境問題」>
□モデレータ:Gary Shapiro/CEA専務理事
省エネルギーの推進について、米国の電子業界を含めて行う初めての会議となりました。米国のShapiro専務理事(CEA)の議事進行のもと各団体より意見の表明があり、討議の結果、下記の結論を得ました。

(1)省エネルギー対策
省エネルギー対策の推進は、地球温暖化問題の対策に有効であり、これまで国内対策が優先されてきた省エネルギー対策について、国際的に取り組むとともに、待機時に加えて使用時の電力消費についても、自主的な基準策定を進めていく。
この検討を行うため、参加4団体でワーキンググループを設置する。
電子情報技術が省エネルギーに貢献していることについての広報活動を、積極的に実施する。
テレビの電力消費の測定方法に関する国際標準の策定に協力する。
技術革新を阻害し、消費者の選択の幅を狭め、製品やサービスの利点を削ぐような政府の規制や基準の強制には反対する。
(2)使用済み製品のリサイクル
使用済み製品の効率的な回収、リサイクル、再生を促進する活動を支持する。
使用済み製品の移動に関する障壁の除去への国際的な取組みを支持する。
環境規制に関する国際調和を推進する。
グローバルな(特にアジアにおける)サプライチェーンを通じたJIG(Joint Industry Guideline)の活用を促進する。
アジア、特に中国における使用済み製品のリサイクルや有害物質について、国際調和を求めていく。

なお、会議の中で、有害化学物質規制への取組みに関し、JEITAよりJ−Mossに関する説明を行いました。
<テーマ別会議2.「通商問題」>
□モデレータ:Mark MacGann/EICTA専務理事
MacGann専務理事の議事進行のもと、IT/エレクトロニクス製品に関する関税、及び非関税障壁の撤廃のための非農産品市場アクセス(NAMA)交渉の促進、並びにITA(情報技術協定)の対象拡大の必要性について議論し、下記の結論を得ました。

(1)自国政府への働きかけの強化
非農産品市場アクセス(NAMA)交渉において、IT/エレクトロニクス分野を優先して取り上げるよう、自国の政府に強く働きかける。
(2)各国交渉担当者への働きかけ
WTOの他国の交渉担当者に対し、IT/エレクトロニクス製品の分野別交渉の立上げや、クリティカルマス形成のための協議に応じるように強く働きかける。
(3)データの収集、作成
分野別交渉の促進やITAの対象拡大実現のために、IT/エレクトロニクス製品がもたらす経済への好影響や、消費者の利益拡大等に関するデータの収集及び作成に努力する。
また、今後の最初の活動として、4月20日に、各業界団体の代表がジュネーブでWTO各国政府代表に働きかけを行うことを確認した。
<テーマ別会議3.「標準化問題」>
□モデレータ:Rhett Dawson/ITI専務理事
Dawson ITI専務理事の議事進行のもと、各団体より意見を述べつつ討議を行い、下記の結論を得ました。

(1)国際標準化
国際標準化機関を通じた情報通信技術(ICT)、及びホームネットワークの国際標準化について協力する。
(2)効率的な適合性の評価
供給者自らがその製品の規格に対する適合性を宣言できるSDoC(供給者適合性宣言)のメカニズムの推進を支持する。
規格の国際調和を推進し、11SDoC(1規格、1試験、供給者適合宣言)を実現するために協調して取り組むことにより、グローバル製品である電子情報技術製品の市場拡大を図る。
(3)アクセシビリティ
アクセシビリティに関連して、各国政府が進める独自の調達規格に関し、国際調和を図るために協調して取り組む。
(4)中国独自規格
様々な分野で独自規格を作る動きを見せている中国に対し、国際規格の採用と国際標準策定作業への参画を促す。
(5)GISAとの共同作業
ホームネットワーク及びセーフティに関し、GISA(Global Industry Standards Alliance)に標準化の専門家としての検討を依頼する。
<テーマ別会議4.「知的財産保護問題」>
□モデレータ:金子和夫/JEITA専務理事
金子専務理事より、「知的財産の適切な保護」に関する説明を行ったあと討議が行われ、下記の結論を得ました。

(1)レビィ制度(私的録音録画補償金制度)
デジタルコンテンツに関する様々な技術の進歩により、レビィ制度に頼らない、より合理的な制度の確立やビジネスが可能になっている。このような方向を支持するとともに、欧州や日本で行われている制度の見直しや改革に向けた活動に対し、日米欧の各団体が協力して支援する。
(2)インターネットやブロードバンドを用いたデジタルコンテンツの流通
インターネットやブロードバンドを利用したデジタルコンテンツの流通に適した法的、技術的環境のあり方について研究する。
このような流通に関連したコンテンツの保護、並びに利用のバランスが適切に確保されるようなシステムの構築を推進する
各国政府に対し、国際的に調和のとれた法制度の確立のために協力するよう働きかける。その際は、特定のDRM技術を支持するような法制化は避ける。
なお、今回の会議の中で、Web-castへの対応及び放送に関するWIPO条約の見直しについても討議が行われ、放送と通信の新しいビジネスモデルについて意見交換が行われました。
(3)模倣品対策
模倣品被害の拡大を阻止するには、日米欧の企業、業界、政府の力を合わせた連携が必要である。その連携を円滑にするための担当窓口を各団体に設置し、具体的な共同活動の実施に向けて協議する。
<総括会議>

□モデレータ:Rhett Dawson/ITI専務理事
Dawson専務理事の議事進行のもと、コモンビュー・ペーパとジョイントステートメントの内容の確認、及び採択が行われました。
また、ITI Board ChairmanのStoffel会長(Kodak)より挨拶と総括が行われ、その後、住友顧問、金子専務理事及び各団体より総括コメントが行われました。以下、主な総括意見です。

コモンビューの事前作成など、この日米欧会議では準備が重要である。今回も事前に準備を日米欧間で行ってきたので、良い結果が出たと認識している。
4月20日にジュネーブで開催されるドーハラウンド交渉担当者への働きかけに、日米欧メンバが参画するという意味でも本会議は重要であった。
前回同様、今回も非常に重要なトピックスについて議論でき、有益な情報を得ることができた。皆様のご協力に感謝したい。
我々はワールドワイドに活躍する企業の集まりであり、業界として一つにまとまることが重要である。また、電子業界はサプライチェーンが長く、その意味からも自由貿易は重要と考えている。
日米欧間で連携すれば大きな力となる。我々がそれぞれの政府と協力して、グローバリゼーションを推し進めていけることは大きく評価すべきことである。

今回の会議で特徴的なことは、環境問題を始めとする4つのテーマのそれぞれで、より具体的な議論が交わされ、ワーキンググループの設置や共同対応など具体的な協力の仕方が明確に示されたことです。更に、今後のフォローアップを確実に行い、来年の会合につなげていくことが重要であると考えられます。
なお、次回の会議は、2007年4月頃に、EICTAの主催により欧州で開催することとなりました。
 
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