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JEITA Hot Issues

岡村会長 年頭所感

社団法人 電子情報技術産業協会
会  長  岡 村   正

 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 日本経済は、基本的には、今年も着実に景気回復に向けた歩みを続けていくものと見ております。個人消費が底堅く、民間の設備投資も拡がりを見せてきており、何より企業業績の改善が鮮明になってきていることで、景況感に明るさが出てきていることは好ましいことであり、今後は個人消費の本格的な立ち上がりと、デフレからの脱却を確実なものにしていくことが課題になると認識しております。
 また、懸念材料である原油高や原材料高の影響、定率減税の段階的廃止や社会保障費負担増の影響また米国や中国の経済動向などに十分に注意を払いながら、景気の回復から新たな成長へ、そして社会の発展にどう繋げていくかが、政府の政策、あるいは企業経営の課題であろうと考えております。
 こうした中で、日本の電子情報産業ですが、昨年は非常に厳しい年となりました。電子工業の国内生産は、前年までのプラス成長から一転してマイナスとなりました。これは、一昨年後半からの需給バランスの変調とそれに伴う在庫調整の長期化、また、デジタル製品の激しい競争と行き過ぎた価格下落によるものですが、日本の産業の国際競争力の維持や中長期的な消費者保護といった観点からも、関係者それぞれの立場における健全化への努力を期待したいと思っております。
 なお、2006年の電子工業の生産見通しですが、設備投資の回復、個人所得の改善もあり、昨年後半からの回復基調がしだいに顕著になってくると期待しており、当協会ではプラス2.3%とみております。
 さて、日本は、今まさに少子高齢化の時代を迎えております。このような時代において、国際競争力を維持し、更に強化していくためには、今こそ電子情報技術を活用した「IT立国」を目指すべきではないかと考えております。ポスト「e−Japan」の活動も始まっておりますが、企業活動を始め、行政、教育、医療など、国民生活に関わるあらゆる分野において、徹底したITによる社会基盤の構築を、最大の国策として推進していくことこそが、「安全」と「安心」が求められるこれからの社会を築いていく、最も近道ではないかと思っております。
 電子情報産業は、まさにエレクトロニクス技術と情報・通信技術を駆使して、21世紀の新しい社会システムの構築を支えていく役割を担っており、そのためにも、基幹的な技術分野である半導体、ディスプレイ、電子部品、電子材料はもちろんのこと、情報家電ネットワーク、セキュリティ、ロボティクスなど、幅広い先端技術への取組みが、ますます重要になってくると考えております。
 また、ご承知のとおり、地上デジタル放送が3年目を迎えております。2011年の現行アナログ放送の停波について視聴者、消費者の方々に周知を徹底していくと同時に、デジタル・ネットワーク社会の基幹メディアとしての地上デジタル放送の普及推進を図っていくことが、我々の業界にとっても大きな課題であると認識しております。昨年12月には、視聴可能エリアが全世帯の約60%にあたる2,840万世帯に拡大し、今年末には約80%に及ぶと見込まれております。
 今年は、2月にトリノで冬季オリンピックが開催されますし、6月にはドイツでサッカーのワールドカップが開催されます。こうした機会を最大限に捉えて、デジタルテレビの普及を加速していくとともに、4月1日には携帯端末で受信可能な地上デジタルの「ワンセグ」放送も開始されますので、積極的な展開を図っていきたいと考えております。
 他にも、電子情報産業を取り巻く課題は山積しております。環境問題では、地球温暖化対策への積極的な取り組みを始めとして、7月から適用されるEUの特定有害物質規制(RoHS)への対応、また製品リサイクル・省エネルギー対策の推進など、循環型社会の構築に向けた取り組みも、今年の大きな課題であると考えております。
 また、私的録音録画補償金制度の見直し、デジタルコンテンツの著作権保護のあり方に対する取り組み、模倣品対策などの知的財産権保護への取り組み、業界団体として不可欠な標準化活動への取り組みなど、様々な問題が課題となっております。
 今や地球上に起こる出来事は、世界の各国に大きな影響を及ぼすことになります。世界経済・国際社会の先行きは常に不透明なものであり、何が起こるか分かりませんが、2006年が日本経済の新たな飛躍の年となり、また我が国の社会の発展に繋がるような年になることを祈念しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 
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