スペシャルインタビュー第7回 一般社団法人電子情報技術産業協会 水嶋 繁光 会長

2015年9月17日

JEITA会長水嶋繁光「CPSの社会実装を通じてライフスタイルと産業の革命につなげていきたい」

CPS/IoTスペシャルインタビュー第7回は、特別号として、JEITA水嶋会長によるJEITA総合政策部会 特別講演会でのCPSに関する講演内容をご紹介いたします。

CPSの社会実装を通じてライフスタイルと産業の革命につなげていきたい

CPSは世の中の基盤になる。その社会実装の効果が大きく期待できる1つの方向は新しいライフスタイルの創出

これから間違いなくCPSが世の中の産業基盤になっていくと私は思っています。その社会実装で効果が大きく期待できる方向は2つあると思っています。
その1つはCPSが作り出す社会の中での新しい生活のイノベーション、我々にとってのユーザーの新しいライフスタイルを生み出す、新しい商品やサービスを生み出すということです。例えば、より健康で安心した社会の実現に向けて新しい産業を作っていく、これが1つの取り組みの方向で、皆さん色々なことを考えておられると思います。

もう1つは、CPSの実装を通じて産業革命につなげていく、ということ

Mr_Mizushimaもう1つは、CPSの実装を通じて産業革命につなげていく、ということを是非考えていきたいと思っています。産業革命は家内制手工業から機械化しましたが、いわゆるものづくりのやり方、サービスを作るやり方が根本的に変わるわけです。ものづくりやことづくりシステムを日本の国としてどう変えるのか、ここが非常に大きな着眼点ではないかと思います。これができることですべての産業、農業から医療からすべての産業のベースとしてCPSを実装していくということが必要なのだということが私の想いです。新しい生活イノベーションという意味でいえば、家電はお互いが通信でつながることによってより高機能、高品質、省エネルギーのものができ上がってくるでしょう。自治体のサービスも変わるでしょうし、医療も銀行も大きく変わるでしょう。革新的な商品、新しいサービスというのが当然生まれてきます。これが新しい産業になることは間違いありません。

本当に新しいものづくりとは何か、例えばサプライチェーンの期間を半分にすること。
それだけで絶対的な競争力につながる

もう1つ申し上げたいことは、本当に新しいものの作り方、新しいことの作り方、サービスの作り方、というものに是非つなげる必要がある、ということです。

例えば、今我々がやっているような資材発注から販売までサプライチェーンに現在、おそらく数か月かかっていると思います。こういうことを変わらずにやっていると利益は絶対残らなくなります。例えばこれが半分にできたら、在庫が半分になります。色々なボラタリティー、経済のボラタリティー、需要のボラタリティー、あるいは季節用品のボラタリティーなどがあった時にこのバリューチェーンにかかる時間が半分の期間でできれば、おそらく利益は2倍、3倍、4倍にあがるでしょう。無駄なお金もなくなりますから、資金の回転率もおそらく2倍になるはずです。シンプルな考え方です。もちろん人の効率も2倍になると思います。あくまでも一例の机上の論理です。むろん、優れた機能、性能、品質が産業競争力の重要要素ではあります。だけどこのサプライチェーンにかかる時間が2分の1でできる国、それが日本だとする。ものやサービスを供給するのに中国や韓国や台湾よりも半分の期間でできれば、これは絶対的競争力ですね。

サプライチェーンの期間を半分にするためにCPSの活用を真剣に議論していきたい

サプライチェーンの期間を半分にするためCPSというものが非常に有利な役回りをするのではないかと思っています。非常にシンプルで大胆な発想ですが、そのような発想をする必要があるのではないかと思います。利益率も大事ですが、一定の財産でどれだけのリターンをかけるかという考え方をすれば、かけるお金が半分に減ります。ものすごい競争力が高まることになると思います。性能競争、価格競争というものから新たな競争軸、例えばサプライチェーンの期間が他国に比べて2分の1に減ったらきっと絶対的国際競争力につながると思います。こういうところもCPSというものの活用を真剣に議論して考えていく必要があるのではないか、と思っています。

新しいものづくりのプラットフォームを提供するのが、我々エレクトロニクスメーカー

CPSの社会実装がもたらす新製品やあるいは新しいサービス、それによる生活イノベーションというのを生み出し、新しい産業を生み出す、それはもちろん当然のことです。もう1つ、ものづくり、ことづくりのシステム革新というものを積極的にCPSの実装社会のビジョンとして、もう一度考え直してみたいと私は思っています。新しいものづくりの仕組みが日本のベースとして、プラットフォームとしてでき上がるということをイメージして、何をやらなければいけないかと考えたとき、このプラットフォームを提供するのは、我々エレクトロニクスメーカーです。そして、このCPSの世界がこれからの日本の全産業の国際競争力の源泉となると考えております。

(了)