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年頭所感

 

一般社団法人 電子情報技術産業協会
会長 水嶋 繁光

会長 水嶋 繁光

 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 日本経済は、円安など事業環境の好転に伴う企業収益の拡大や、良好な雇用情勢や実質賃金の上昇を背景とした個人消費の拡大がみられ、2016年も緩やかな成長が見込まれます。一方、世界経済についても、昨年10月の国際通貨基金(IMF)の発表によると、中国をはじめ新興国経済の減速など一部に懸念材料はあるものの、米国をはじめとする先進国の堅調な回復を踏まえ、2015年は3.1%、2016年は3.6%の成長が見込まれています。
 また、当協会が昨年12月に発表した電子情報産業の世界生産は、2016年に約327兆円、前年比3%増と5年連続のプラス成長を見通しています。
 近年、CPS(Cyber Physical System)を支える技術基盤であるIoTやビッグデータ、ロボット、AI(人工知能)、音声認識等の進化が目覚ましく、データ駆動型社会の実現に向けて、我々IT・エレクトロニクス業界が貢献すべきフィールドはさらに広がりつつあります。CPSとは、実世界(フィジカル空間)と仮想世界(サイバー空間)の情報連携によって新たな付加価値を作りだす概念で、今後のIT・エレクトロニクス業界における新しい成長エンジンとして大きな期待が寄せられています。
 それらの動向を見据えて、当協会では2015年度から、CPS/IoTの社会実装を見据えた事業活動に大きく舵を切り、JEITA会員企業による新たな取組みを促進するための活動を重点的に推進しています。具体的には、昨年7月にCPS社会実装検討タスクフォースを設置し、政府に対する規制や制度面の提言、標準化の促進等を積極的に進めており、また昨年10月のCEATEC JAPAN 2015においては「CPS/IoTエキシビション」として、他業界と連携した新たな価値提案を行いました。さらに昨年10月に政府が立ち上げた「IoT推進コンソーシアム」にも参画し、政府の進めるIoT関連政策にも協力していくほか、少子高齢化と人口減少が進む地方ではCPS/IoTを切り口にした地域活性化が有効であることから、具体的な事例集として「IT・エレクトロニクス×地域活性化百選~CPS/IoTへの取組みから見えてくる新たなニーズ」をとりまとめるなど、様々な取組みを進めております。
 また、CPS/IoT社会の実現に欠かせないデータ利活用とセキュリティに関しては、改正個人情報保護法が成立し、いよいよマイナンバーの利用も始まります。これにより、個人情報が社会基盤として有効に活用される環境が整いますが、パーソナルデータの利活用に際しては個人情報保護が極めて重要です。医療や自治体など多くの分野において、パーソナルデータの提供者にとってメリットのある様々なサービスの実現が期待される中、データの正しい利活用に向けたルール作りは、CPS/IoT社会実装のための大きな課題となっています。当協会としても、引き続き政府と一体となって取組みを進めていきたいと考えております。
 日本企業が国際競争力を発揮するための環境整備としては、税制では2016年の法人実効税率の20%台への引き下げが決定し、また通商においても、昨年はTPP大筋合意やWTO/ITA(情報技術協定)品目拡大といった大きな進展がありました。政府や関係者の皆様には深く感謝申し上げます。今後は、戦略投資を後押しする税制や経済連携のさらなる深化等、新たな観点からも日本企業の国際競争力向上に資する環境整備に向けて取組んでまいります。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックは目前に迫っています。この大きな舞台を生かしつつ、IT・エレクトロニクス業界があらゆる分野のプラットフォーマーとなって日本の「稼ぐ力」に貢献できるよう、会員の皆様と一丸となり、さらに挑戦する気持ちをもって臨みたいと思います。
 2016年がわが国にとって、また当業界にとって、実り多き新たな飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上