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年頭所感

 

一般社団法人 電子情報技術産業協会
会長 山本 正已

会長 山本 正已

 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 2014年の日本経済はアベノミクスの成果が現れ、海外事業や輸出が好調な企業を中心におおむね堅調な動きが出てまいりました。世界経済について昨年10月の国際通貨基金(IMF)の見通しでは、2015年の実質成長率は3.8%増と、新興国における成長率の鈍化など一部に懸念材料はあるものの、米国経済の成長持続により、2014年の3.3%増を上回ると予測されています。こうした内外の状況を踏まえ、当協会が昨年12月に発表した電子情報産業の2015年における日系企業の生産は約41.9兆円、前年比3%増と3年連続のプラス成長を見込んでいます。
 国内に目を転ずれば、高齢化とともに人口減少が進むことが将来に向けたわが国の大きな課題として浮上しています。政府もこの問題を検討し、昨年の臨時国会で「まち・ひと・しごと創生法」が成立し、地域の特性を活かした、人やビジネスを呼び寄せる取組みを進めてゆくこととなりました。当産業は全国各地に多数の拠点や工場を展開し、多くの地域の雇用を担うとともに、ITの利活用による生産性の向上やビジネスの革新などの面から、ローカルの中堅・中小企業やベンチャーの発展に貢献できると考えています。
 昨年11月には当協会会員企業の先進的な取り組み事例を取りまとめ、『IT・エレクトロニクス×地域活性化百選』を発行しました。今後広く配布するとともに、人材活用等も含めた地域活性化を積極的に後押ししてまいります。
 日本企業には、国内で生み出した先進システムやイノベーションを新興国をはじめとした世界に展開し、海外の経済成長をわが国に取り込み、世界とともに成長してゆくことが求められています。そのためにも国際競争力の強化が極めて重要となります。
 当協会では、従来より政策提言や税制改正・規制改革等、あらゆる機会を捉え国際競争のための環境整備を訴えてまいりました。グローバルに活動する企業が多い当業界としてこうした観点に立ち、税制改正、情報技術協定(ITA)の拡大、TPP・日EU EPA等の経済連携推進などの実現を図りたいと思います。
 また2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて今年は様々な計画が具体化することが予想されます。交通や観光、観戦といった様々な場面でクラウドなど最先端のITや映像技術を活用することが、東京のみならず地方も含めわが国全体を活性化していく起爆剤になると考えています。今後著しい成長が見込まれる医療・ヘルスケア、エネルギー、社会インフラ、自動車、農業分野など、従来の枠組みを超えたあらゆる分野とITの融合、4K・8Kの普及拡大などとあわせて、当業界としてもわが国の先進的な取り組みを世界へ発信する絶好の機会にしたいと考えています。
 IT利活用の推進にあたっては、マイナンバーの利用拡大、オープンデータ・ビックデータの利活用推進、パーソナルデータの保護とデータ利活用の両立など、技術進展を踏まえたルール整備が不可欠です。これらの検討につきましても、当協会は政府に対して積極的に働きかけてまいります。とりわけ2016年1月から開始予定のマイナンバーは、日本が直面する超高齢化社会において、行政・医療・福祉サービス分野での効率化やサービス向上に繋がることが期待され、国民の健康長寿の実現や利便性向上に大いに貢献できるものと思います。
 IT・エレクトロニクス業界が一致団結し、経済の好循環をわが国全体に波及させるべく、本年も官民でより密に連携しながら、会員の皆さまとともに積極的に事業を推進してまいります。
 2015年がわが国の新たな飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上