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下村会長 年頭所感

 

社団法人 電子情報技術産業協会
会長 下村節宏

会長 下村節宏

 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年の世界経済は、リーマン・ショックに端を発する深刻な不況から、各企業の業績が回復傾向に転ずるなど明るい兆しが見えたものの、欧州の金融不安や米国経済回復の遅れ等、新たな問題に直面しており、先行きには依然不透明感が残っております。

2010年の電子情報産業の世界生産は約210兆円の見込みで、前年から10%増加となりプラスへ転じたものの、2007年との比較では約12%減少となっており、依然としてリーマン・ショック前の水準には至っておりません。

一方、日本経済を取り巻く環境は、韓国をはじめとした海外メーカーとの熾烈な国際競争に加え、大幅に円高が進むなど厳しい環境が重なり、日本企業の地位は相対的に低下しつつあります。一部の企業では、企業による自助努力に加え、エコポイント制度等の政策支援により業績が回復傾向に転じ、最悪期は脱したものの、自律的な回復過程には入っていない状況です。

こうした状況下、IT・エレクトロニクス業界としては、省エネ家電、LED照明、太陽光発電システム等の環境関連製品の開発、普及を通じて、雇用の拡大及び国内外のCO2削減に大きく貢献してまいりました。今後はさらに、最先端の環境技術を駆使し、グリーン・イノベーションを推進することで、エネルギー効率の向上を追求し、環境と経済成長の両立を目指していくことが重要と考えております。

これらの活動の一環として、昨年、当協会では、これまで重点的に取組んできたグリーンITを活用し、スマートグリッドに積極的に取り組むために、米国への官民合同ミッションを経済産業省とともに共同主催いたしました。

また、日本の国際競争力を強化するためには、国内の研究開発拠点やマザー工場の海外流出を防ぐための環境整備も重要な取組みの一つとなります。当協会では、これまで政府に対して、税制改正、規制改革、国内立地補助等、世界水準の事業環境の整備を強く訴えてまいりましたが、これらの事業環境をより競争力のある環境とするために、引き続き業界一丸となり取組んでまいります。

さらに、EPAやFTAの締結を通じた世界的な経済、貿易に関する環境整備において、これらの締結が遅れることは日本企業の国際競争力低下及び日本企業の海外流出に繋がる懸念があります。当協会では、日本の雇用を守り、日本経済を活性化させるという観点から、農業政策と一体でのEPA、FTA等の推進を強く訴えてまいります。

本年7月には地上デジタル放送への完全移行をむかえます。地域間格差の解消と受信障害対策に積極的に協力し、混乱することなく、全ての国民がスムーズに移行可能となることを目指すとともに、新たな電波の有効利用の推進へ向けた活動を実施してまいります。

当協会では、本年も引き続き、IT・エレクトロニクス産業が低炭素社会実現を通じて、豊かな社会の実現に貢献できるよう、引き続き積極的に事業を推進していく所存です。

2011年がわが国の新たな飛躍の年になることを心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

以上