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新会長に遠藤信博
日本電気株式会社 取締役会長が就任

JEITAは5月29日に第9回定時社員総会を開催し、遠藤信博 日本電気株式会社 取締役会長が新会長に就任しました。就任後の記者会見には73名の報道関係者が出席し、2019年度の事業計画の基本方針に「Society 5.0の推進」を掲げ、業種・業界を越えた共創を推進するプラットフォームとなるべく、幅広く事業を展開していく旨が、遠藤新会長より発表されました。

遠藤信博 新会長 (日本電気株式会社 取締役会長) 遠藤信博 新会長 (日本電気株式会社 取締役会長)

— 遠藤新会長記者会見 挨拶概要 —

はじめに

この1年間、Society 5.0に向けた事業活動をはじめ、様々な取り組みにご尽力いただいた、柵山前会長に感謝申し上げます。バトンを引き継ぎ、JEITA会長の責務を務めてまいります。
2000年11月に日本電子機械工業会と日本電子工業振興協会が統合、電子情報技術産業協会(JEITA)が発足して、本年は20年目の節目の年となります。IoTやビッグデータ、人工知能の技術の進展により、産業構造や社会構造そのものが大きく変わりつつあります。従来型の産業の垣根は崩れ、もはや単一業界のことだけを考えて行動する時代ではありません。いま、日本がめざしているSociety 5.0の世界は、あらゆるものがインターネットを通して繋がり、データを共有することで多くの人が積極的に価値創造に参画し、自分に合ったライフスタイルと幸せを実現できる社会です。JEITAには、このプラットフォームを構築するうえで、なくてはならない企業が集結しており、まさにSociety 5.0を支える業界団体と言っても過言ではありません。しかし、業種・業界や地域・国家の枠を超えたデータの利活用には、ルールの策定、標準化などを従来の枠にとらわれず、よりスピーディーに行っていかなければならず、業界団体も変化していかなければなりません。

体制変革と共創の取り組み

会員制度に関する定款変更とベンチャー優遇特例制度の創設により、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、IoTに密接に関係する企業とスタートアップに会員の門戸を広げました。また、他の業界団体に先駆けた、これらの会員制度変革により、JTB、セコム、損害保険ジャパン日本興亜、竹中工務店、LIXILなど、幅広い業種・業界の企業の皆様に新たに入会いただきました。いまやJEITAは、電子部品や電子デバイス、電子機器やITソリューション・サービスに留まらず、それらを中核として、他の製造業やサービス産業を含む、あらゆる産業を繋げるプラットフォームになりつつあります。広範な分野の企業の参画を得て、異なる知見や技術を持った者同士が連携し、新たな価値を共に創り出す、「共創」による新たな市場創出にも取り組んできました。例えば、家電やIT機器メーカーに限らず、住宅や住宅設備、サービス等の住まいに関わる幅広い企業の参画を得て、2017年にスマートホーム部会を創設し、業種・業界横断的にデータを利活用するためのルール策定などの成果をあげています。他にも、会員企業やベンチャー賞受賞企業からの提案に基づき、新たな事業に取り組む企業や団体を支援する「JEITA共創プログラム」をスタートさせ、市場創出が期待できる新たなプロジェクトの立ち上げを支援してきました。
JEITAはこの数年間、自らの変革を進めてまいりました。従来型の業界団体から、共創を実現する課題解決型のプラットフォームへと着実に変化しつつあります。

これからのさらなる変革

会長会見_2019_05_31_019 これからの1年間、会長として、変革の手を緩めることなく、Society 5.0を推進する業界団体として、産業と産業をつなぎ、業種・業界を越えた共創を推進するプラットフォームとなるべく、様々な取り組みを続けてまいります。

体制強化

新たに参画した、IT・エレクトロニクス産業以外の会員の声をJEITAの事業に反映すべく、理事会社の拡大を図りました。従来、理事会はIT・エレクトロニクスの企業で構成されていましたが、このたびの総会で、旅行最大手のJTBと警備最大手のセコムの2社から、JTBの田川博己代表取締役会長ならびにセコムの中山泰男代表取締役社長のお二方を新たに理事・副会長にお迎えしました。JEITAは新たな体制で、業種・業界を越えて社会課題に向き合う、課題解決型の業界団体への変革をより一層進めてまいります。今後は、幅広い産業の会員企業を有する特長を生かし、ITとサービスが一体となることで新たな価値を生み出す、地域活性化や安心・安全なスマートホームの実現に向けた取り組みなどを加速させていきます。

事業環境整備

Society 5.0を実現するためには、データがつながることで新たな価値を生み出し、全体最適を図る新たな取り組みであるデジタルトランスフォーメーションに必要な事業環境の整備が求められおり、国内外で積極的に活動してまいります。 国内では、あらゆる産業におけるデジタル投資を加速させ、新たなサービスの創出・生産性向上を後押しするような税制を、引き続き働きかけます。また、規制改革も重要な課題で、IoTの活用により、工場設備等に関する規制をより合理的なものにしていく取り組み等にも貢献してまいります。他にも、例えばAIのような、政府が政策的に取り組んでいるテーマに対して、提言などを通して積極的に協力し、社会実装を進めてまいります。
国外では、世界経済の先行きを巡る不透明感が高まる中、JEITAとして、世界の産業界と議論し、各国政府と対話をしていかなければなりません。デジタル経済の自由化と競争力強化を図るため、国境を越えたデータの自由な流通を促進するなど、引き続き、国際社会でリーダーシップを取っていくための事業環境の整備に取り組みます。
JEITAは、「Data Free Flow with Trust」を国際的な合意とするため、5月、欧米産業界と共に、G20の各国政府に対して、ステークホルダー同士が信頼を確立できる環境を構築し、セキュリティやプライバシーとのバランスを伴ったデータの自由な流通の重要性に関する共同提言を公表しました。また、6月のG20貿易デジタル経済大臣会合に先立つ6月7日には、米欧英のデジタル産業界との共催による官民ラウンドテーブルを開催しました。我々の提言に基づき、Society 5.0を実現するためのAIの社会実装やData Free Flow with Trustに焦点を当て、政府と産業界で意見を交わし、政府間の合意形成を後押ししていきます。

CEATEC

JEITAが主催している展示会である「CEATEC」は、2016年に家電見本市からCPS/IoTの総合展に大きく舵を切り、幅広い産業界、国内外のスタートアップ、AIなどの新しい技術、データ利活用のための政策が集い、一企業を超えた「共創」を通じて新たな価値創出をめざすという、他に類を見ない展示会に生まれ変わりました。CEATEC 2019は、「Society 5.0 TOWN」をはじめとする新たな企画や会場周辺を利用した実証実験など、様々な計画を準備していますが、その中でも2019年、特に注力するのは、工学系だけにとどまらない、将来を担うすべての学生たちに向けたアピールです。今年のCEATECでは、CEATECそのものを産業界の「オープンキャンパス」に見立て、基盤技術を支えるIT・エレクトロニクス産業やユーザー企業による課題解決の取り組みを「見て」「聴いて」「感じて」「考えて」いただく場として、Society 5.0時代を牽引するIoT人材育成を大きな柱に掲げ、学生1万人の来場をめざします。業界・業種の垣根を超えた連携・共創を生み出し、Society 5.0の実現をめざすCEATEC 2019は10月15日(火)~18日(金)までの4日間、幕張メッセで開催します。

おわりに

会長会見_2019_05_31_032 JEITAは幅広い産業からの新たな会員企業と連携し、課題解決や競争力強化、新たな市場創出に取り組むことで、日本経済・日本社会の未来のためにSociety 5.0を実現するプラットフォームとして貢献してまいります。これからの1年間、会員をはじめ皆さまのご指導・ご協力を賜りながら、JEITA会長として、全力を尽くしてまいります。引き続きご支援いただきますようお願い申し上げます。