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年頭所感

 

一般社団法人 電子情報技術産業協会
会長 東原 敏昭


会長 東原 敏昭

 
 年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、6月の英国の国民投票でEU離脱支持派が過半数を超え、11月には米国の次期大統領が決定するなど、今後の世界経済や国際情勢に大きな影響を与える出来事があった年でした。その一方で、近年のビッグデータ、人工知能(AI)、ネットワークなどの技術の進展により、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)の時代を迎え、新たな製品やサービス、ビジネスモデルが生みだされるなど、世界中で従来とは次元の異なるさまざまなイノベーションが創出され、今後、私たちを取り巻く産業構造や社会構造も大きく変わろうとしています。

 当協会が昨年12月に発表した電子情報産業の世界生産は、それらのイノベーション創出が牽引する形で、2016年に前年比2%増の2兆6,100億ドル、2017年に前年比3%増の2兆6,800億ドルのプラス成長を見通しています。

 このような中、当協会は、IoTが支えることとなる超スマート社会の実現(Society5.0)に向け、CPS(Cyber Physical System)/IoTの社会実装を推進しており、我々が直面する社会課題の解決に向けた新たなビジネスモデル創出を促進するための活動を重点的に行っております。

 その象徴として、昨年10月のCEATEC JAPAN 2016はCPS/IoT Exhibitionとして大きく舵を切り、未来を見据えたコンセプトや新しいビジネスモデルを発信する場として開催いたしました。

 「産業」「技術」「政策」のつながる力を国内外に発信するとともに、「異業種」「ベンチャー」「海外」など、業種や国を越えた連携による事業創出や政策連携など「共創」を生み出す場として、大きく動き出しました。また、3月にドイツで開催されるCeBIT(国際情報通信技術見本市)に向けて当業界も積極的に対応するとともに、CEATEC JAPAN 2017に向けて、ドイツを含めた海外との連携をさらに進めてまいります。

 イノベーション創出の要ともなるベンチャー企業との連携については、CEATEC JAPANでの展示やビジネスマッチングのみならず、昨年12月には第2回JEITAベンチャー賞の募集を開始するなど、今後、地域や海外のベンチャー企業との連携も視野に、新たなビジネスイノベーションに向けた動きを加速してまいります。

 また、CPS/IoTの利活用による地域経済や地域社会の効率化、高度化にも大きな余地があります。そのため当協会では、2014年、2015年に会員とさまざまな分野の連携による先進的な取組事例をまとめた「地域活性化百選」を発行し、「農業」「サービス・観光」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」「安心・安全」「モビリティ」分野での導入事例を広く紹介いたしました。さらに、昨年11月には、地域経済活性化への具体的な貢献や効果に焦点を当てた「CPS/IoT×地域活性化セレクション Society5.0を目指して」を発行し、ベストセレクションとして取組事例をまとめました。こうした取組みにより、各地域でのさまざまな先進事例が共有され、新たな連携がさらに広がっていくことを期待しております。

 一方、IoTのプラットフォーム獲得競争など、激しい国際競争の中にある当業界においては、新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくための事業環境の整備が極めて重要となります。

 税制では、当協会が要望してきた研究開発税制における「総額型」の強化に加え、ユーザー側でのビッグデータ、AIなどを用いたサービス開発についても対象とすることが、昨年末に決定した2017年度与党税制改正大綱に盛り込まれました。政府や関係者の皆様には深く感謝申し上げます。

 CPS/IoT社会の実現に欠かせないデータ利活用とサイバーセキュリティについては、個人情報保護と安全なデータ利活用の両立を図るとともに、国際的に整合性のあるルール整備が不可欠です。また、関税および非関税障壁の削減・撤廃、競合国との公平な競争環境の確保等の通商課題についても、引き続き米国や欧州など世界の産業界や政府と積極的に連携し、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備に取組んでまいります。

 さて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、我が国発のイノベーションを世界に発信するまたとない機会になると考えております。この大舞台を前に、当業界はあらゆる産業や社会システムのプラットフォームとして、新たなビジネスの創出や社会のイノベーションを支えることで、少子高齢化やエネルギー問題といった社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会の実現とともに、日本経済のさらなる活性化に貢献していきたいと考えております。政府をはじめ関係各所と密に連携しながら、会員の皆様とともに、積極的に事業を推進してまいります。

 2017年が酉年にふさわしい、実り多い飛躍の年となることを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。