お知らせ
INFORMATION

第16回世界半導体会議(WSC)の開催および結果について
~マルチ・コンポーネントICの定義に合意し、無税化に向けて前進~

 

2012年5月24日
一般社団法人 電子情報技術産業協会


本日、米国ニューヨーク州サラトガスプリングスにおいて、世界の半導体企業の最高経営責任者(CEO)クラスの参加による世界半導体会議(WSC: World Semiconductor Council、以下、WSC)を開催しました。
今回のWSCでは、集積回路(IC)と半導体素子および一般電子回路を組み合わせた「マルチ・コンポーネントIC」(以下、MCO)の定義について合意しました。
半導体製品は、絶え間ない技術革新により、新しい機能を集積した新製品を次々と生み出し、その範囲を拡大しています。半導体と一般電子回路を組み合わせたMCOは、今後の半導体製品の主流の一つとなる新型半導体です。
WSCは、新しい半導体として世界的に普及し、無税化を実現するために新型半導体であるMCOの定義について議論を重ねてきましたが、今回のWSCでMCO定義の最終合意に達しました。
WSCとしては、MCOの無税化を実現するために、今回のMCO定義を各極政府および世界税関機構(WCO:World Customs Organization)へ提示し、無税化に向けた働きかけを今後も継続して行っていきます。
WSCは、日本、欧州、米国、韓国、チャイニーズ台北、中国の6極の半導体企業および半導体工業会で構成されています。
今回の主催国は米国であり、議長は米国半導体工業会を代表してフリースケール・セミコンダクタ社 チェアマン兼CEO Rich Beyer氏が務めました。日本からは、JEITA半導体部会・部会長である   ルネサス エレクトロニクス株式会社 エクゼクティブ・アドバイザー 山口 純史 氏をはじめ、   株式会社東芝 執行役専務 齋藤 昇三 氏、富士通セミコンダクター株式会社 代表取締役社長 岡田 晴基 氏の3名が参加しました。
WSCの主な結果は以下の通りです。
1.新しい半導体製品(MCO)の普及・促進
半導体製品は、絶え間ない技術革新により、新しい機能を集積した新製品を次々と生み出し、その範囲を拡大しています。WSCは過去5年に渡り、この新製品「MCO:ICと一般電子部品や半導体素子を組み合わせたマルチ・コンポーネントIC」の定義を審議し、広く普及をはかるために無関税となるように各国政府、WCO(世界税関機構)へ働きかけを行ってきました。今回は、そのMCO定義を6極で合意しました。今後は、各政府への提言を通して無税化を推進していきます。
2.環境対策
(1)PFC(PFC : Perfluoro compound温室効果ガス)排出削減自主行動
2011年WSCで合意した今後10年間の削減取組の第1回実績確認の機会となりました。今回から加盟6極の地域外の工場からの排出量も加算しますが、結果は、排出量の絶対値で2010年比1%削減、生産面積原単位(kwh/cm2)2010年比3%削減を実現しました。
(2)地球環境負荷の軽減
電力、水、廃棄物に関する2011年実績は、それぞれ2001年比 36%、45%、44%削減となりました。 電力に関する今後10年間の削減方針は、市場に受け入れられる目標の策定を継続審議することが確認されました。
(3)化学物質リスク対応
半導体業界として、人体及び環境に対して悪影響を与える有害な化学物質の使用・排出に関する抑制は、これまでも十分に対応してきていますが、全世界的な化学物質規制要求の高まりに鑑み、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM : Strategic Approach to International Chemical Management)に向けて、業界の本案件に関する基本姿勢を記述したポリシーペーパーを発行することに合意しました。
3.知的財産権の保護:
(1)特許の質
WSCは知的財産権の適切な保護が一層の技術革新を促し、半導体産業の発展に大きく貢献することを認識しています。このために、各極の特許の審査の質、実新案の仕組みで、現状の問題点の審議を始めました。纏まれば、世界知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property Organization)との協議を検討します。
(2)半導体製品の模倣品対策
WSCは、半導体(製品)模倣品が社会に与える深刻さを念頭に、各国税関当局と連携した諸活動を展開し、さらにはWEBへの注意喚起メッセージ掲載等、啓発に努めています。
4.その他
以上に加えてWSCは、暗号化製品に関わる規則、輸出入における制限的な規則、国際統一原産地規則など、世界的な貿易を前提としている半導体産業の成長を阻害する可能性のある種々の規則の動向に大きな関心を持っています。
WSCは、関税障壁の撤廃、自由貿易の促進が半導体産業に多大な影響があることを認識しており、ドーハラウンド、ITAの推進について、各国政府及び世界貿易機関(WTO: World Trade Organization)へ働きかけています。 
WSCでは、今回の結果として共同声明(英文)を採択し、追って、Webサイト(http://www.semiconductorcouncil.org/)に掲載します。
次回は、2013年5月に欧州リスボンにて開催予定です。

以 上


(参考)
■WSC:1996年8月の日米半導体協定の終結を受けて、既にグローバル化していた半導体のビジネスを反映して、多極の場で世界の半導体業界の共通問題について協議することが必要との認識に基づき、日米業界でWSCの設立に合意、1997年4月に日米欧韓の半導体業界が参加してWSCの最初のミーティングをハワイで開催、今回で16回目となる。
WSCのWebサイト: http://www.semiconductorcouncil.org/